最後のセンター試験国語(その3)〜古文
今年のセンター古文は「小夜衣」から。
「小夜衣」というと、ちょうどこの前飲んだ、静岡は菊川の日本酒を思い出しますね。上品なおいしいお酒でした。
「小夜衣」というのは、綿を入れた着物型の寝具のことです。今でいえば着ぐるみ毛布みたいなものでしょうか。
作品「小夜衣」は鎌倉時代の擬古文。高貴な宮と山里の姫の恋物語に、継子いじめの話を絡めるという、あるあるのストーリーです。平安から江戸まで、このタイプのお話は無数に作られました。トレンディードラマみたいなものでしょうか。
中世や近世の擬古文は、私たち現代人にとっては読みやすい。中古の文、たとえば源氏物語なんか出ちゃうと、もう受験生にとっては最悪です。あれは難しい。難しすぎる。名文なのでしょうが、名文すぎるというか。
というか、平安の文学は、いわば宮廷サロン内の内輪ネタなので、蚊帳の外の人間にとってはチンプンカンプンなのは当然です。中世以降になると、文学の大衆化が進みますので、第三者にもわかるように記述するようになっていきました。結果として、超第三者(蚊帳の外)の現代高校生にもわかりやすくなる。
江戸の擬古文なんか、普通に「パブリッシュ」されていましたから、プライベートではなくパブリックになっていて、現代人にも優しく(易しく)なっています。ですから、センターに江戸の擬古文が出たらラッキーということでした(知らない名前の作品だったらラッキーと思え!と生徒に教えていました)。
そんなわけで、今回はウチの生徒たちも結構読みやすかったようです。問題もひねりが少なく、基礎的な古文の力(文法力と語彙力による正確な口語訳の力)があれば、それほど難しくなかったと思います。
21世紀初頭のセンターの、あの異常な古文の難しさ(たとえばこちら参照)はなんだったのでしょうか。ようやく勉強する甲斐のある内容、難易度になりましたね。共通テストになっても、ぜひこの路線を続けていただきたい。
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