最後のセンター試験国語(その4)〜漢文
こんな絵がセンター試験に出るとは。もう少し上手に描けたのではないでしょうか(笑)。
それ以前に、漢詩が単独で出たことに驚きましたね。五言詩か。
作者の謝霊運は、なんとなく名前は覚えていたけれども、いつの時代のどんな人だったかは思い出せませんでした。
そっか、徒然草で兼好法師にダメ出しされた人だ。
謝霊雲は法華の筆受なりしかども、心、常に風雲の思ひを観ぜしかば、恵遠、白蓮の交りを許さざりき。暫くもこれなき時は、死人におなじ。光陰何のためにか惜しむとならば、内に思慮なく、外に世事なくして、止まん人は止み、修せん人は修せよとなり。
この絵のような生活や自然を詩にしていたことを責められているのでしょうか。「風雲」の意味をどうとるかですね。
自然の風物ととるか、「風雲の志」のように、立身出世のこととるか。
仏教者としてダメ出ししているということは、後者になるのでしょうかね。続く文章の内容からしても。
実際、謝霊運は、その不遜傲慢な態度を咎められ流刑になったあげく、その道中に脱走を企てて処刑されたのとのことです。カルロス・ゴーン的な感じでしょうか…いやいや違う違う(笑)。
さて、センター試験に出た漢詩ですが、正直大した内容ではないですね。そのせいか、こんな絵の問題を出さざるを得なかったのかも。他の問題もほとんど内容に関係ない知識問題ですし。
内容に関するのは最後の問題だけです。それもあまり味わうべきものではありません。そういう意味では、評論や小説のようなメッセージ性は全くない。というか、古文や漢文をもって、現代の若者たちにメッセージを送るのは、正直難しいということですね。
毎年の繰り返しになりますが、国語200点の中身が、評論、小説、古文、漢文それぞれ50点ずつというのは、ちょっとどうかなあと思います。
古文・漢文が比較的好きな、現代で言えば変態的な趣味を持つ国語教師でさえも、全体の半分が古典に当てられている、すなわち「教養」、それもかなりマニアックな(それこそ変態的な)教養で人生のかなりの部分が左右されるというのは、どうなんでしょうかね。
せめて、もう少し教訓的な内容の作品を出してほしいものです。共通テストでは改善されることを願います。
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