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2019.12.15

蒼昌会 第6回公演 「俊寛」「道成寺」ほか

Th_201910111522574988 日は下の娘と銀座の観世能楽堂にて能を鑑賞。

 娘の師匠である、人間国宝野村四郎先生の「俊寛」と、先生のご子息である野村昌司さんの「道成寺」を中心とした番組。

 観世流を代表する素晴らしい面々による、現代最高の芸を堪能することができました。

 まさに言葉にならない「もの」世界でありました。

 全体としては、俊寛の男性性と道成寺の女性性がコントラストとなり、同じ悲哀でありながら全くエネルギーの向かう方向が違って感じられました。静と動と言ってしまってはあまりに陳腐です。

 内に秘められ爆縮する情念と、外に向け爆発する情念。どちらも鬼気迫るものがありました。

 細部で言うなら、道成寺の、あの急の舞に入る前の乱拍子、小鼓と白拍子の、あの鐘を挟んでの真剣勝負。格闘技の緊張感でしたね。ものすごく長く、しかし短く感じられました。

 そう、かつてのプロレスに垣間見られた虚の中の実というか、ストーリーの予定調和に収まりきれない「場」の緊張ですね。それがその後のストーリーをさらに効果的に際立たせていました。

 超一流の芸というのは、本当にこちらの脳波を操ることができる。とても、とても眠くなっている暇などないほどの張り詰めた空気でした。命がけなんですよ。こちらも。

 能楽堂を出て、クリスマス気分に浮かれる銀座の街を歩いていても、ずっとずっとその緊張感、余韻、空気が残っていました。こんな体験は本当に久しぶりでした。感謝するとともに、娘がとんでもない世界に飛び込んでしまったなと思わずにはいられませんでした。

 一方で、やはりこれをより多くの人たち、外国人や若者も含めて、たくさんの人に見てもらうためには、これから能楽界はどうしていけばよいのか、どうなっていかなければならないのか、悩ましくも感じました。

 私は「ストリート能」「フラッシュ能」が、実は一番本来の能のあり方に近いのではないかと、真剣に考えているところです。それこそ銀座の真ん中でやれば、一気に世界に拡散されるでしょうに。

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