M-1グランプリ2019
ミルクボーイの優勝。納得の内容でした。
昨日、宇宙人忘年会の前に、我が中学校の文化祭が行われました。そこでコント部が漫才を披露しました。今回は指導する時間がほとんどなく、そのため部員たちには悪いことをしてしまいました。
充分にウケていましたが、だからこそ、ちょっとした表現のテクニックでもっと良くなったのに…。
「お笑い」というのは大変難しい。よくいろいろな場面で言っていますが、「いわゆる表現芸術は、そのゴールが喜怒哀楽どこでも良い。しかし、お笑いは笑いというゴールしかないから大変」なのです。
そのために、どれほどの才能と努力が必要か。私は自分がコント部の顧問をやることによって、もちろんプロの皆さんとは次元が違うとはいえ、その難しさ、苦しさの一端は体験しております。
ですから、決勝に残った3組、そして残れなかった和牛をはじめとする皆さんの、その影の努力が痛いほどよく分かります。
「笑い」は「幸せ」です。人の幸せのために、本当に命をかけてやっている皆さんに心から敬意を表します。
さて、今回の決勝の3組、ミルクボーイ、ぺこぱ、かまいたちには、共通した新しさがありましたね。すなわちツッコミの進化です。
お気づきだったと思いますが、いずれも単純なツッコミではなく、逆に伝統的なツッコミを壊すところから始めていました。
ぺこぱは肯定的ツッコミ、かまいたちは負けツッコミ、ミルクボーイはぶれツッコミ。
ボケに対して単純に否定的ツッコミすることによって、すなわち、ツッコミがお客さんを代弁する形でボケを笑い倒すのが伝統だとすれば、彼らは逆にツッコミで笑いを取るという方法をとったわけです(もちろん3者ごとにその作法や度合いは違います)。
いずれにせよ、常にツッコミ側にいれば良かった私たち観客が揺さぶられたところに、面白さがあったわけですね。
3者の脚本の作り方は、ある意味では単純であって、定型化することは簡単です。
たとえば、ミルクボーイのホンは、共通認識・共通体験の強い事物を一つテーマとして決めて、その属性と非属性を順番に並べ立てれば、その骨組みは出来上がります。それだけだったら、中学校・高校の国語の授業でやってもいいでしょう。
ぺこぱは言うまでもなく、今までのツッコミの後半をひっくり返せばよい。かまいたちはツッコミを負かすようボケ通すことが必要なので、またちょっと違うかもしれませんが、ご覧になってわかるとおり、少なくともツッコミを弱めていますよね。
このように定型化できると、たくさんのネタは作れますが、飽きられる可能性もありますね。そこが彼らの今後の辛さでしょう。
しかし、松本人志さんが言っていたように、今年の決勝はレベル高かったと思いますよ。特にミルクボーイの「コーンフレーク」は最高でした。ミルクボーイのほかのネタも同じパターンが多いのですが、どうしてもテーマが特定の何かをバカにする傾向が強くなってしまうので、地上波では難しい部分もありますね。「コーンフレーク」と「最中」を選んだのは賢明でした(それでもけっこうギリギリです)。
ちなみに私が気になったというか気に入ったのは、日本の伝統芸能を活かした、東京ホライゾンとすゑひろがりずでした。故きを温ねて新しきを知る、は大事ですね。
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