甲野善紀 「教わる」ことの落とし穴
今日は都留文科大学国文科の学生さん二人とたっぷりお話をしました。国語の教員を目指す、まさに私の後輩ということになります。お二人とも不思議な、不思議すぎるご縁があってお互いにびっくりしました。偶然は必然です。
いつもの私らしく、話があっちこっち行ってしまい、結局何を話したか自分ではほとんど覚えていないのですが、たまたま帰ってから観た動画に、そのエッセンスが語られていることに気づき、自分でも思わず「なるほど」と思ってしまいました。
代わりに(?)語ってくれているのは、かの甲野善紀師であります。言わずもがな、武道の達人であります。最も尊敬する心の師のお一人。
「教える」こと、「教わる」ことの限界や危険性、すなわち「言葉」の限界や危険性ですね。国語の教員こそが、それらを意識すべきです。
守破離ですね。学習はすなわち「まねび」「ならふ」こと。真似して慣れることで満足してはいけない。それを「破」って「離」れなければ。
本当の「師」とはそこへ導く存在です。それを促す存在です。
私が恩師大村はま先生に言われた言葉を思い出します。「私の真似をするなら100%しなさい」。厳しいお言葉でした。
これは禅や道の修行と同じことを言っている。真似する、すなわち「守」ることを突き詰めて、結果として、それが無理であることを悟る。その結果、本当の自分に出会うことができ、ようやくオリジナルが生まれる。
つまり、それこそ都留文科大学の学生だった私に大村先生が言いたかったのは、「あなたらしい国語の先生になりなさい」ということだったのです。
出会ったのが偉大な師であればあるほど、それを破ってそこから離れることは難しい。高い山を越えて、さらに高い山を築くことは難しいけれども、それに挑戦することには大きな喜びがあるとも思います。
辛いことと喜びとが一致するということを、なかなか教えにくい世の中になってしまいました。せいぜい、教師(先生)である自分が、そうして生きている姿を見せることくらいしかできませんが、それもまた、いやそれこそが、「教える(教わる)」や「言葉」を超える究極の方法なのかもしれません。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- 『「生きる力」としての仏教』 町田宗鳳・上田紀行 (PHP新書)(2021.01.20)
- 『芸術は宗教の母なり~耀盌に見る王仁三郎の世界~』 (出口飛鳥)(2021.01.14)
- 善悪不二・正邪一如 (出口王仁三郎)(2021.01.12)
- 神俗もまた不二一如 (出口王仁三郎)(2021.01.13)
- 『ジョーカー』 トッド・フィリップス監督作品(2021.01.11)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 日本人は何を考えてきたのか…第9回「大本教 民衆は何を求めたのか」 (NHK Eテレ)(2021.01.19)
- 『小早川家の秋』 小津安二郎監督作品(2021.01.18)
- 今こそ!俺たちの東京スポーツ最強伝説(2021.01.17)
- 『江戸の妖怪革命』 香川雅信 (角川ソフィア文庫)(2021.01.16)
- 『芸術は宗教の母なり~耀盌に見る王仁三郎の世界~』 (出口飛鳥)(2021.01.14)
「教育」カテゴリの記事
- 『江戸の妖怪革命』 香川雅信 (角川ソフィア文庫)(2021.01.16)
- 『平和と命こそ〜憲法九条は世界の宝だ』 日野原重明・宝田明・澤地久枝 (新日本出版社)(2021.01.05)
- 2020年を振り返る(2020.12.31)
- 『異界探訪 パワースポットの最深部に異界への扉があった』 町田宗鳳 (山と渓谷社)(2020.12.22)
- Kenko 天体望遠鏡 Sky Explore SE-AT90M(2020.12.21)
「文学・言語」カテゴリの記事
- 今こそ!俺たちの東京スポーツ最強伝説(2021.01.17)
- 『聖断 天皇と鈴木貫太郎』 半藤一利 (文春文庫)(2021.01.15)
- 追悼 中村泰士さん なかにし礼さん(2020.12.24)
- 『異界探訪 パワースポットの最深部に異界への扉があった』 町田宗鳳 (山と渓谷社)(2020.12.22)
- 霊方山 薬王院 温泉寺 (加賀市山代温泉)(2020.12.09)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 『「生きる力」としての仏教』 町田宗鳳・上田紀行 (PHP新書)(2021.01.20)
- 日本人は何を考えてきたのか…第9回「大本教 民衆は何を求めたのか」 (NHK Eテレ)(2021.01.19)
- 今こそ!俺たちの東京スポーツ最強伝説(2021.01.17)
- 『江戸の妖怪革命』 香川雅信 (角川ソフィア文庫)(2021.01.16)
- 『聖断 天皇と鈴木貫太郎』 半藤一利 (文春文庫)(2021.01.15)
コメント