湯の花トンネル列車銃撃事件
広島に人類史上初めて原子爆弾が投下されたその前日、昭和20年8月5日。東京で悲惨な列車銃撃事件がありました。
私も時々、中央線でその現場を通過します。山梨から東京へ向かう時、高尾駅のすぐ手前、長い小仏トンネルを出たあとにある短いトンネルが、湯の花(いのはな)トンネルです。
そのトンネルにさしかかった満員列車に対して、米軍の戦闘機によって無差別に機銃を掃射され、50名近くの方が亡くなりました。
原爆ももちろんですが、当時の日本各地に対する焼夷弾や機銃掃射による空襲は、完全に一般市民に対する無差別攻撃です。それらに対するアメリカへの糾弾はほとんどされず、逆に日本軍によるいくつかの攻撃が、戦争犯罪とされました。
戦後、そうした議論がほとんどされないこと、それは日本という国の不思議を感じさせる事実です。最近もかしましいお隣の国の粘着性とはえらい違いです。
さらに興味深いのは、そうした「記憶」を意識の上では消し去っても、それを保っている物は無意識的に大切に残すことです。このトンネルも、また高尾駅に残る銃痕も、そうした不思議な記憶物の一つです。日本のそうした文化は、なかなか外国からは理解されませんね。
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