フジファブリック 『FAB BOX III』
志村くんの誕生日。本当ならこちらからお祝いをあげたいくらいなのに、素晴らしいプレゼントが届きました。
ほとんどのライヴの記録用映像(家庭用ビデオカメラで撮影したもの)があるということは聞いていました。
また、志村くんが亡くなった直後、ご家族からも、いつか日の目を見ればいいというお話をうかがっていました。
それが10年経って実現したのです。
そこに収められていたのは、真剣に前向きな志村正彦の姿と言葉でした。
アーティスト、音楽家としての苦悩と挑戦、そしてバンドメンバーとの新たな絆。
「市民会館(富士五湖文化センター)凱旋」が折り返し地点であると、私も11年前こちらに書きました。
彼の中での復路の最初の駅は、きっと「富士急ハイランド(フジフジ富士Q)」だったのでしょう。しかし、それは夢の主人公不在の舞台となってしまいました。
しかし、10年目となった今年になってみると改めてわかったのですが、フジファブリックはちゃんと折り返して、ちゃんと今もまだ見ぬ目的地へ向けて走り続けています。
もちろん、天才志村正彦がいなくなってしまったのは、どうしようもなく悲しく切ないことです。しかし、彼が残してくれたエネルギーは膨大でした。
それは他のメンバーが「脱志村」をするにあたっても、結果としてブラスに働きました。このDVDを見てわかるとおり、彼らは別れの寸前に初めて一つとなったのです。もし、そうでなかったら、今のフジファブリックは存在していなかったかもしれません。
そうした過程を感じることができるだけでも、このBOXの価値はあります。いや、それこそが価値でしょう。Bootleg映像は、基本固定ですし、音もかなり悪い。しかし、そこに「記録」されているものは、実に瑞々しく、清々しく、リアルな人生そのものなのでした。
Amazon FAB BOX III(完全生産限定盤)
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