太田裕美 『君と歩いた青春』
最近、(個人的に)再評価著しい太田裕美さんの魅力的な歌唱を聴いていただきましょう。
代表作の一つである「君と歩いた青春」。もちろん伊勢正三さんの作詞作曲、「風」の名曲ですよね。
太田裕美さんのアルバム「君と歩いた青春」は、彼女のアメリカ行きの寸前に出ました。自らの音楽活動にいったん終止線を入れようとしたある種の覚悟を感じる内容となっていますね。
そうそうたる作詞家の詩に自ら作曲した渾身の歌たちを並べていますが、たった1曲、他人の作曲による歌を歌っています。それがこの「君と歩いた青春」。そして、それをアルバム名にした。
それほど、この曲を愛していたということでしょう。たしかに名曲です。あの時代の「青春」、特に「別れ」の切なさを表現した名曲です。
しかし、面白いのは、これが「男歌」だということですね。
日本の「歌」には「トランスジェンダー」という特徴があります。文化的トランスジェンダーですね。つまり、男性が「女歌」を歌い、女性が「男歌」を歌うことが多くあるということです。演歌が一番わかりやすいでしょうか。
本来、これは非常に不自然であるはずですが、日本の歌においては、なぜか自然に受容される。たとえば英語の歌だと、ビートルズの「And I Love Her」を女性歌手がカバーすると「And I Love Him」にしたりする。全てではありませんが、そういう傾向が強い。逆に日本でそれをやると変な感じがしますよね。
で、なんとも女性らしい可愛い声の代表格とも言える太田裕美さんが、こうして「ぼく」を主語に「君はなぜ男に生まれてこなかったのか」と歌うわけですから、実に面白いですよね。そして、それがこんなに感動的なのはなぜなのでしょう。日本人独特の感性のなせるわざではないでしょうか。
このライヴ映像は本当に素晴らしいですね。歌謡曲、フォーク、ニューミュージック、そしてアイドルを自由に生き来していた太田裕美さんの、その多様な魅力が凝縮しているように感じます。ピアノもうまいし、作曲も完全に玄人。まさに真のタレント、アーティストですね。
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