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2019.06.09

『100円の恋』(安藤サクラ主演作品)

 藤サクラ主演の映画。

 うん、やっぱり安藤サクラがすごかった。この作品、安藤サクラじゃなかったら、イマイチだった。

 それから、やっぱり今になってこの作品を観るとですね、助演男優の新井浩文にとって、けっこうシャレにならない内容ですよね。いい俳優さんなのに…。やっぱり、現実生活とお芝居の世界が、ある程度重なっていないと、ああいう感じは出せないのかなあと思いました。

 そういう意味で、最近の女優、男優さんに、ある種の鬼気が感じられないのは、まあしかたないのかなあと。

 この作品は「第1回松田優作賞」でグランプリに選ばれた足立紳の脚本を映画化したものです。実は今日、この作品を観る前に、松田美由紀さんにお会いして、ちょっと映画の話なんかもしたのですが、そう、松田優作さんなんか、まさに現実生活がそのまんまお芝居の世界につながっていた。そういう天才が生まれにくい、育ちにくい、生きにくい世の中になってしまいましたね。

 その点、安藤サクラさんはすごい。見事憑依させてますね、斎藤一子を。実際の生活はどうなんでしょうか。お父さんは奥田瑛二さん、お母さんは安藤和津さん。曽祖父は犬養毅という、とんでもない血筋ですからね。

 それにしても、映画におけるボクシングという存在は面白いですよね。ボクシングの世界自体が、人間臭いドラマに満ちているので、ある意味ボクシングを映画に使うというのはずるいとも言えます。

 この作品も、ボクシングものにありがちなコテコテの展開ですので、やっぱり安藤サクラじゃなかったら、チープな作品になってしまったかもしれません。

 私だったら、「100円」ということですから、最初から最後までダメ人間しか出てこない映画にしたかもしれません。だから、途中から安藤サクラが変身していくところを見てガッカリしてしまいました(笑)。結果はどうあれ、努力する人が出てきてしまうとなあ…。

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