「人でなしの恋」(満島ひかり×江戸川乱歩)
怖かった!泣いてしまいました(笑)。
NHKで再放送されていた江戸川乱歩の映像化作品。満島ひかりが主演した短編3作品「お勢登場」「算盤が恋を語る話」「人でなしの恋」を下の娘と見ました。
うーん、なるほど。これは面白いし、これからの日本のテレビはこういうのをやればいいんじゃないかと思いました。
というのは、ここのところ、映画では韓国や中国の作品に押され気味ですよね。映像の分野でも、いつのまにか彼らに追い越されてしまった。
しかし、しかしですね、日本には圧倒的な強みがあるんですよ。それは「近代文学」です。圧倒的な質と量を誇る財産。
私は、近代文学、特に小説は特殊の時代の特殊の文学として、あまり高く評価しないできました。というか、全然読んでこなかった。
それが、このように時代に合わせて、しかし原作に忠実に映像化されると、俄然面白くなる。
国語のセンセーがこんなこと言うと、だいたい非難されるのですが、正直に言います。原作よりずっと面白いし、良い。
これはでも感じていたことです。
原作に忠実でありつつ、現代性も取り込む。さらに映像の中に文字情報が多くあるというのは、これは西洋の映画では字幕以外ではほとんどありえません。
こうして、映画的な部分と、文学的な部分、あるいは極端にラジオ的な部分などをミックスして一つの作品にするというのは、これは日本独自の文化です。
読本とか浮世絵とかにつながりますし、もちろんマンガやアニメにも通じますね。ある種のメディアミックス的リアリズム。そして、いい意味での「原作の使い回し」。
今回、特に面白かった(怖かった)のが「人でなしの恋」ですね。
時間的にも、手法的にも、テレビが生き残る一つの方法論であろうと思います。特にNHKにはぴったり。時間と才能とお金をたっぷりつぎ込みつつ、文化の継承を実現できるわけですから。
ぜひ、こういうシリーズをどんどんやってほしい。再放送もどんどん。できればYouTubeなどでも見られるようにしてほしいな。一時的にでもいいので。
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