宇津保物語の「国譲り」
今年の節分は楽しい仲間と急遽飲み会。節分で幽閉されるオニの象徴でもある耀わん三つを囲んで大いに盛り上がりました。
昨年の節分の日、節分と国譲り(譲位)という記事を書きました。国譲りという言葉は本来、天皇の譲位を表す言葉だったというお話。昨日紹介の討論で、水島さんがおっしゃった「出雲の国譲り」を国譲りというようになったのは、実は近代になってからなのです。
あっという間に1年が経ち、本当に「国譲り(譲位)」の年が来ました。はたして何がどのように譲られるのでしょうか。それは私たち庶民には分かりません。
さて、「国譲」というと、あの枕草子にも、その言葉が出てきます。有名な「物語は」の段です。
物語は住吉(すみよし)。宇津保(うつほ)。殿うつり。国譲りはにくし。埋れ木。月待つ女。梅壺(うめつぼ)の大将。道心すすむる。松が枝。こまのの物語は、古蝙蝠(ふるこうもり)さがし出でて、持て行きしが、をかしきなり。ものうらやみの中将、宰相に子うませて形見(かたみ)の衣など乞ひたるぞ、にくき。交野(かたの)の少将。
「国譲りはにくし」というのは、その前に出てきている宇津保物語の「国譲の巻」のこと、あるいはその内容を指します。殿うつりのシーンは、その巻の冒頭に出てきますので、つまり、「宇津保物語の国譲の巻の殿うつりと国譲りの話はきらい」ということでしょう。
どうして嫌いなのかというと、おそらく、「国譲の巻」がつまり天皇の譲位にからむ醜い立太子争いがリアルに描かれているからでしょう。
実は私は宇津保物語はちゃんと読んでいないのですが、ちょこっと覗いたかぎり、結構ドロドロな権力争いのようですね。物語全体はペルシャの琴のお話で、なかなかロマンチックなんですが、国譲の三巻はちょっと現実に引き戻されるようで、それで清少納言は「にくし」と言ったのではないでしょうか。
このたびの平成の「国譲り」には、そんなドロドロはないと思いますが、私たちの見えないところのいろいろも、スムーズに進むことを祈ります。
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