寺神戸亮・若松夏美ほか 『J.S.バッハ〜その音楽と歓び〜』
めちゃくちゃ久しぶりに東京文化会館小ホールに行きました。実を言うと、今日は別件で上野公園に行く予定だったのでした(恒例の大日本プロレス観戦です)。
ところがこのお二人のヴァイオリンでバッハのドッペルを聴けるということで急遽こちらに参戦!
たぶんですが、東京文化会館は高校生の時、授業をさぼって新幹線に乗ってフェリックス・アーヨを聴きに行って以来ですよ。37年ぶり!?
まずは演奏の素晴らしさについて。1曲目でいきなり管弦楽組曲2番。私もヴィオラを何度も演奏したことがありますので、その音楽的構造の素晴らしさというか複雑さというかカッコよさをよく知っている方だと思うのですが、いやあ今日の演奏はレベル高かったなあ…なんて、当たり前か。メンバーがメンバーですからね。
ただ会場の性質からして、前田りり子さんのトラヴェルソの音が上に抜けてしまって前に出てこなかったのは残念でした。ただそのおかげと言ってはなんですが、弦楽パートの先ほど言った構造というのが浮き彫りになってきて良かった。そう、あのヴィオラパート、めちゃくちゃ難しくかっこいいんですよ。私は密かにヴィオラのベスト・レパートリーだと思っています。
ソプラノのアンネ・ファン・グランベーレンさんのカンタータは、やはりその歌のレベルの高さに驚きましたね。知り合いとも話したのですが、やはりアリアよりもレチタティーヴォでその巧拙がわかる。まさに、ちあきなおみ的うまさでしたよ。と言ってもドイツ語わからないんですが(笑)。
そしてそして、なんといっても2つのヴァイオリンのための協奏曲ですよ!いやあ、本当にぜいたくな音世界でした。寺神戸さんのグァルネリは、本当に言葉が明瞭に発音されていました。だからちゃんとしゃべれる人じゃないと使いこなせないなと思いましたね。
対照的に若松さんのカッパでしょうか、あれは言葉よりも情感を伝える楽器で、それが若松さんの演奏スタイルにぴったりで、それはそれはゾクゾクさせられました。まさに女性的な魅力。
特に2楽章は涙がちょちょぎれました。お二人の音楽世界が豊かに響きあう。そこに浮かぶ様々な情景…なんかいろいろなことを思い出しました。
寺神戸さんとは昨年秋に初めてご縁ができての再会。若松さんとは数十年ぶりの再会…。
そう終演後、若松夏美さんにもめちゃくちゃ久しぶりにお会いしておしゃべりしましたよ。年賀状のやりとりはかれこれ30年くらい続いているのですが、なかなかお会いする機会がなくて。若松さん開口一番「今年の年賀状はちょっと手抜きだったでしょ!?」でした(笑)。
あの頃はお互い二十代(!)。いろいろ楽しい思い出が蘇ってきましたね。なぜか富士山の樹海の洞窟にまで一緒に行ったっけな(笑)。
また、楽しい音楽祭でもやりましょう!ということで、お二人の期待に応えられるよう、私も頑張ってみます。古楽界への恩返しですね。
あらためて、ちゃんとバロック・ヴァイオリン弾こうかなと思ったワタクシでした。最近5弦ヴィオラばっかりで、愛器デイヴィッド・ルビオ、眠ってるからなあ。
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