『ヴィジュアル版 教師の歴史』ディアドラ・ラフテリー 著/立石弘道 翻訳 (国書刊行会)
昨日、日本の学校の歴史について少し書きました。この本は世界の学校の歴史と言ってよい。学校の主役は生徒ですが、あくまで主体、客体で言うなら、学校の機能主体は教師です。すなわち、学校の歴史とは教師の歴史そのもの。
この本を見ますと(ヴィジュアル版なので主に「見る」)、やはり近代以降教室(学校)の風景というのがあまり変わっていないことがわかります。
それと裏腹に変わったものは、教師の地位でしょうかね。たしかに、歴史的に見ますと、古く教師は単に勉強を教える存在ではなく、やや宗教的ともいえる社会貢献的な主体であったことがわかります。「聖職」と呼ばれてしかるべき存在です。
今はどうでしょう。なんとも不甲斐ない。世のバッシングを受ける対象に変わってしまいました。
もちろん自分自身もそうです。最近はすっかり開き直って、「尊敬される」「感謝される」ではなく、「面白がられる」教師でいいや、なんて真剣に思っています(苦笑)。
いや、それで本当にいいと思っているのです。世の中が変わり、学校や教師の意味も大きく変わりました。かつて教師が担っていた社会貢献の一面は、世の中全体で、あるいはその専門職が担うようになってきたという事実もあります。
生徒にとっての「先生のような大人になりたい」という願望や憧憬の内容も、「楽しそうでいいな」程度でいいのかもしれません。いくらAIが現代的な教師の代わりをしたとしても、決して「楽しそう」ではないでしょうから。
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