シュメルツァー 『ヴァイオリン・ソナタ』
先日、お世話になっている若手ヴァイオリニスト野武大誠さんのコンサートがありました。エレクトリック・ヴァイオリンにエフェクターを駆使して、オリジナルの曲をたくさん演奏してくれました。
それがとっても良かったのです。なんというか、私の考えているヴァイオリンという楽器の性質をよく分かっていて(すなわち音大で教えているような近代奏法ではなく)とても好感を持ちました。もちろんアドリブもふんだんに取り入れており、まさに今この場に生まれた音楽という意味でも素晴らしかった。
そんな彼の美しい音楽を聴いていて思い出されたのが、このシュメルツァーのヴァイオリン・ソナタ。
ウィーン出身の彼のソナタは、ドイツ語圏では初のヴァイオリン・ソナタだと言われています。当然、イタリアの影響を強く受けていますが、どこか牧歌的、すなわち民謡的というか民俗音楽的であったり、適度に技巧的であったり、言うなれば東北地方の民謡と商業的演歌の中間形のような(全然ふさわしくないたとえw)感じです。
私はこの曲集が大好きで、時々楽譜を引っ張り出してきて弾いてみたりしています。そして、これが案外難しい。こういう味わいの音楽をどういう音色で弾くべきなのか、どういう言葉と解釈して表現すべきなのか、正直よく分からないのです。
しかし、やはり魅力的。どこかとらえどころがない、まだまだ「モノ」的な要素を遺している音楽。たとえばバッハのような「コト」音楽とはまた違った、中期バロックの魅力があります。
それと、先日の野武さんの音楽と印象がかぶった。つくづく私はこういう音楽が好きなのだなと再確認した次第です。
彼のような若いヴァイオリニストがいることに心から感謝します。私にできなかったことをどんどんやってもらいましょう。
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