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2018.11.04

『前祝いの法則』 ひすいこたろう・大嶋啓介(フォレスト出版)

予祝のススメ
Th_81mk6biz35l 年に続き、忍野村で行われた大嶋啓介さんの講演会に行ってきました。ベストセラーになっているこの本の出版記念という名目の講演会。
 居酒屋てっぺんの代表であり、独特の「朝礼」や「予祝」で夢を叶えることを説く伝道師。非常に魅力的な方です。
 高校野球のチームを多く甲子園に導いたり、オリンピックチームを金メダルに導いたり、スポーツの世界でも、彼のメンタルトレーニングは評判です。生徒や選手というよりも、指導者に変化を与えることを主目的としているのも特徴ですね。
 昨年同様に会場の聴衆を巻き込んだ魅力的な講演に、私も引き込まれながらいろいろな意味で勉強をさせていただきました。
 否定的な言葉や勝手な負の思い込みによって、生徒たちの可能性に蓋をしてしまっている…教師には耳の痛い話の連続だとも言えます。
 実は先日、学校でペップトークの講演が開かれたんです。似た部分もありますよね。とにかく肯定する。良い未来を想像する。それによって脳の働きが変わり、人生も変わっていく。
 私も真の日本の教育改革を目指す者として、それらの考え方、実践のほとんどに同意、賛同します。
 しかし、あえて、あえてですが、今日講演後に打ち上げ(来年への予祝の意味合いもあり)に参加させていただいた折、大嶋さんに申し上げたことがありました。
 それは集団心理としての予祝の危険性です。たとえば、先の大戦において、特攻に出発した若者たちは「予祝」をしました。それも、家族や天皇陛下が喜んでくれる思って、心から自分の死を祝ったのです。
 もちろん、全ての若者がそうだったとは言えませんが、しかし、多くがそういう心境で出発前夜に祝杯を上げたのは事実です。
 ですから、予祝がダメとか、みんなでテンションを上げあって、各自の内的な壁を乗り越えるのがダメとか、そういうことではありません。それらをより良いものにしていくために、これからバージョンアップしていくことを願っての苦言でした(本当に不躾に失礼しました)。
 自らの夢を実現することが、場合によっては戦争を引き起こすこともあります。そういう冷静な目をもって、これからの若者たちを導いてほしいのです。
 しかし、さすがは大嶋さん、ものすごく謙虚で繊細でいらっしゃる。しっかり考えてくださりました。悩んでくださいました。さすが一流は違うなと思いました。二流の人は必ず反撃してくるか、逃げます(笑)。
 教育の現場、毎日の教室の中では、こうした「祝」的な非日常性は継続できません。それもまた教師の悩みです。特に軍国主義的な要素の色濃く残る現在の学校制度の中では、大嶋さんのやり方はなかなか浸透していかないでしょう。
 やっぱり全く新しい学校を作るべきなのかなあ…最近、いろいろな人とそんな話もしています。はたしてどなるのやら、私の未来。
 ちなみに、この本のタイトルにある「予祝」という言葉自体は近代になってから生まれたものですし、「前祝い」も江戸時代に一般化した日本語です。もちろんだからと言って、そういう習慣がなかったというわけではない。あえて言語化する必要がないほど当たり前だったというのが、私の考えです。
 もちろん私の「未来から過去へと流れる」という時間観にもつながるところがあります。私自身も独自の人生哲学をしっかりブラッシュアップしていこうと思っています。
 ありがとうございました。

Amazon 前祝いの法則

大嶋啓介公式

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