モンテヴェルディ 『ウリッセの帰還』 (寺神戸亮指揮・ヴァイオリン/小野寺修二演出)
25日二つ目の音楽イベントは、これもまた自分の音楽人生において重要なポジションにある「古楽」関係。
中でも二つの音楽祭は私という存在の骨組みを構成していると言ってもいい。そして、その二つの音楽祭がある意味今年統合されつつあります。
このモンテヴェルディのウリッセの帰還の公演は、北とぴあ国際音楽祭の最大の見世物であります。見世物というのは決して蔑称ではなく、本来的な意味であることはお分かりでしょう。
初期バロックの巨匠、天才であるモンテヴェルディのオペラが、現代においてどのように表現されるのか、それが大きな見ものなのです。
指揮とヴァイオリンは寺神戸亮さん。寺神戸さんとは二週間前にお会いして3時間ほどお話させていただきました(こちら参照)。あの頃、稽古も佳境に入っていたと思います。大変だとおっしゃっていました。それはそうでしょう。今日それを実感しました。4時間に及ぼうかという大作。
なんでもオーケストレーション、楽器の配分なども寺神戸さんが担当したと言いますから、それだけでも気の遠くなる難行です。なにしろ、あの充実しすぎた通奏低音軍団です。その効果的な使いわけも実に考えられたものでした。
そして、演出は演劇畑の小野寺修二さん。いろいろな面で新しい挑戦がありましたから、稽古も実に大変でしたことでしょう。
さて、その稽古の成果はというと…いや、本当に驚きと言ってもいいほど、モンテヴェルディが現代に生き生きと甦ったという感じでした。やられた!…いろいろな人たちの「創造力」にしてやられました。
人間ってすごい。音楽ってすごい。演劇ってすごい。心が打ち震えました。
35年以上関わってきた古楽の世界。いろいろな意味でここまで来たかという感慨がありました。北とぴあとの因縁も浅からぬものがあります。この音楽祭草創期を支えた音楽仲間の谷田部格さんのことも自然と思い出されました。エントランスに入った瞬間、ああここで演奏したなあ、あの頃は若かった…なんて、思わず独り言を言ってしまいました。
谷田部さんから寺神戸さんまで、本当にいろいろな方々に感謝です。ご恩返しのためにできることを頑張らせていただきます。
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