viola bastarda…即興と楽譜
ものすごく忙しいので、楽曲紹介が続きます。知られざる名作、名演奏を紹介するにはいい機会かもしれませんね。
今日もまた、即興演奏に関わる動画を紹介します。
今でこそ楽譜というものの存在が当たり前になっていますが、西洋で楽譜が普及したのは、活版印刷が登場した15世紀以降です。それまでも楽譜がなかったわけではありません。「変えてはいけない」音楽として、教会の聖歌などは楽譜として残されていました。しかし、庶民にまでそれが普及するのは、近代になってからです。
日本でも事情はそんなに変わりません。五線譜が輸入される前は、正確な記譜法もありませんでした。
ということは、逆に言えば、音楽とは再生するものではなく、その場でどんどん創造されるものだったわけです。つまり即興が主であったと。
作曲家という職業のあり方、あるいは作曲家自身の考え方も近代になって大きく変わったと言えます。バロック音楽までは、かなり自由な即興性を認めていましたが(バッハは例外)、古典派以降になると、即興が許されるのは、いわゆるカデンツァの部分だけとなっていきます。
一方で、大衆の音楽文化においては即興性が生き続けました。それがいわゆるクラシック音楽にリベンジして成功したのがジャズですよね。
楽譜は「転写」された「コト」ですから、時間の流れが過去から未来へとなります。一方、即興演奏はその場で生まれる「モノ」なので、時間の流れが未来から過去となります。全然違うんですよね。
その話はまたいつかするとして、今日は、そうした即興性が残っていた時代における楽譜に残された音楽を紹介しましょう。つまり、モノとコトが混在している音楽。
ヴィオラ・バスタルダ(Viola bastarda)という楽器があったと言われています。即興演奏用のヴィオラ・ダ・ガンバだと言われていますが、どうも普通のヴィオラ・ダ・ガンバを即興で演奏する時に、そのように呼ばれていたようです。ヴァイオリンとフィドルの関係と同じですね。
で、即興ですからほとんど楽譜に残されていないのですが、おそらく即興性が徐々に薄れていくことに対しての危機感でもあったのでしょう、何人かがその即興の例を楽譜に残したり、即興風の作曲をしたりしています。
今日紹介するのは、16世紀の作曲家ジローラモ・ダッラ・カーサ (Girolamo Dalla Casa) の作品です。
バロック期には、コレッリやテレマンが、即興の例を楽譜に残すというある意味矛盾した「作曲」をしています。面白いですね。
忙しいと言いながら長々と即興で書いてしまいました(笑)。
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