『偽書が描いた日本の超古代史』 原田実 (KAWADE夢文庫)
発信のアウトソーシング特集、とりあえずこれで一段落でしょうか。
今日、ウチの近所の安倍総理の別荘に、インドのモディ首相がいらっしゃいました。これも元をたどると、私の妄想が実を結んだとも言えます。そこには、ある「トンデモ」が関わっています。その話はまた最後に。
少し前に、原田さんの最近のお仕事「江戸しぐさ批判」を含む『オカルト化する日本の教育』を紹介しました。あれもとっても面白かった。どうも、私はこういうモノに反応してしまうんですね。
たしかに自分も子供の時から嘘つきです。今でも生徒に「はったり、ちゃっかり、ぼったくり」とか言われています(笑)。
もしかすると、これは社会的にはかなりヤバイのかもしれませんが、とりあえず小さなの嘘でも、それが世の中を大きく動かすことがある、いや、世界史の大事件のほとんどは、ある種の嘘が生み出したとも言えるのではないか、と思うとどうにもワクワクしてしまうんですね(笑)。
まあ、たとえばある人が未来はこうなる、未来をこうすると言って、人を動かし世の中を動かしたとすると、未来なんていうのはまだ起きていないという意味では、現在においては「嘘」になってしまいますよね。あるいは小説などの芸術作品も嘘っちゃ嘘。それが人や世を動かすこともよくあります。
そういうスケールでの「嘘」にワクワクするということです。
さて、この本には、どう見てもバレバレな嘘なのに、それなりに世の中を動かしてしまった、という例がたくさん紹介されています。
いわゆる「古史古伝」です。それはほとんどの場合「超古代史」を含む内容になっています。それはそうでしょう。最近のことについて嘘をつくとすぐバレるけれども、超大昔のことは誰にも分からないので、嘘というか妄想を書きやすい。
これって、たとえば幽霊が見えるという話をするのと似ています。つまり、肯定派も否定派も科学的根拠を提示できず、ただ「なんとなく信じる」か「なんとなく信じない」ことしかできないから、発信者としては絶対的肯定も絶対的否定からも逃れられる。
そういう意味では、「江戸しぐさ」は近すぎた。いや、近いからこそ自分に都合の良い嘘につなげたくなるというのもありますね。超大昔を語るより、とりあえず信用されやすい(つまり生活レベルで騙しやすい)。
いわゆるユダヤ陰謀論や、大東亜戦争の解釈なんかにも、たくさんの「妄想」や我田引水が混入していますね。いや、一番近いところでは今の政権も…。
そう、この本の「富士宮下文書」のところに、実は私が大きく関わっている「事実」が紹介されていました。ある人を通して、そことモディさんもつながっている。トンデモな話に聞こえるでしょうけれども、起きたことは本当だからしかたありません。
と、そんなわけで、この本に書かれていることは、ほとんど事実ですし、本当に客観的に書かれているという意味で、この種の本の決定版だと思います。さすがです。
それを実現したのは、やはり原田さんの人間への「愛」でしょう。単に嘘つきを糾弾したり、揶揄したり、無視したりするのではない…。
さて、私は今、こうした歴史的「嘘」や現在的「嘘」、そして未来的「嘘」を総合して、戦後日本において国家や国民、そしてそれを取り巻く世界をも動かしてしまった人物、仲小路彰の研究をしています。
仲小路は賢かった。なぜなら、完全に黒幕として隠遁していたからです。その存在は当時からすでにミステリアスであり、だからこそ人を惹きつけてしまった。
仲小路は、これら古史古伝が「発見」され、流布し、利用された時代に生きながら、その内容をかなり深く研究していました。そして、それは彼独特の「日本世界主義」「グローバリズム」「未来学」を構築することに大きく寄与しています。
その潮流はまだいろいろなところに息づいてます。とても一笑に付すわけにはいきません。面白いけれども、笑ってばかりはいられないのです。
物語の力、すなわちモノを騙る力は、事実よりも奇であります。
Amazon 偽書が描いた日本の超古代史
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