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2018.09.17

『カメラを止めるな!』 上田慎一郎 脚本・監督作品

Th_320 度でも言います!傑作です!傑作です!本当に本当に面白かったし、泣けてしかたなかった。
 私の周りのマニアたちからも「すごい!絶対観て!」と盛んに言われていましたが、なかなか時間がなく、今日になってしまいました。密かに映画監督を目指している下の娘(高1)と、静岡は清水町まで行って観てきました。
 下の娘と私は、けっこうな映画マニアで、メジャー作からB級作まで、けっこうたくさん観ている方だと思いますが、正直言ってこの作品は私たちの人生の中のベスト3に入りますね。お見事!
 いろいろなことを感じながら鑑賞し、そして終了後はそれを言語化するように努めました。いろいろ気がついたことがありますので、とりあえず忘れないうちにメモしておきます。
 まず、この映画が超低予算で作られたということ。それがプラスに働くことがあるということを再確認しました。低予算を逆手にとって、いわゆるB級作品をあえて作るということはよくありますし、私自身、学校で映像作品を作る時、それを意識することがあります。
 この作品にもそういうスタンスは見え隠れしますが、基本はそうではなく、あえて言うなら舞台演劇のやり方、すなわち、限られたスタッフが一人ひとりの熱量を最大にして、その熱というか、愛というか、個性というか、それがにじみ出るような作り方をしている。
 考えてみると、前半の超長回しは舞台の芝居風だとも言えます。リハーサルのしかたなど想像するに、ほとんど舞台演劇のそれだったのではないかと想像されます。
 そうそう、私もあのブレブレのワンカットを観ながら自然と思ったのは、監督さんもおっしゃるとおり、「人生ワンカット」ですよね。人生は永遠なる長回し。カメラは止められない。カメラを止めたら死んでしまうので、まさに「カメラを止めるな!」ですよね(笑)。
 そう考えた時、もう一つキーワードになるのは、アクシデントとアドリブです。想定どおり、シナリオどおりいかないことこそが人生の本質であり、しかし、それによって、より豊かな何モノかが生まれる。それこそが感動だったりするわけです。
 そこをテーマにして、ある意味完璧にシナリオ化したところに、まずは感心しました。パラドックスですよね。シナリオとアドリブ。ワタクシの哲学でいうところの「コト」と「モノ」ですよ。
 前半の「モノ(不随意)」による不自然さを、後半の普通のカット割りのある「コト(言語)」で解説していくという、見事なシナリオです。
 そういう逆説を含めて、いろいろな重層構造があるのも、この作品の魅力です。特に視点の重層性。多層性。お気づきのとおり、カメラの「目」はエンディングのメイキング映像も含めて3台ある。さらにスクリーンを観ている私たちの目というカメラがあるわけですから、全体としては4重構造になっている。
 そして、それぞれの目に、それぞれの「愛」があるから、それが愛のアンサンブル、重奏を生んでいる。そう、映画愛、人間愛ですよ。こんなにも切ないほどの愛が輻輳している映画が、かつてあったでしょうか。
 また、ある意味、私たちが享受している「作品」には、裏に必ずアナザーストーリーズがあるという普遍性を表現しているとも言えます。
 作り手にしか分からない、分からなかった、そうした産みの苦しみを、こうしてさり気なく作品化してしまったことに、驚きすらおぼえます。そして、それが作り手にとっても、受け手にとっても全く不快でなかったという奇跡。
 ホラーであり、コメディであり、ドキュメンタリーであり、家族の物語であり、主人公たちの冒険と成長の物語であり…。本当に深く厚い作品です。それが超低予算で可能だという、それこそパラドックスを映画界につきつけてくれましたね。
 そうそう、最後に、ゾンビ映画として考えると、一番怖かったゾンビは、ずばり「カメラ」ですね。止まらない。どこまでも追いかけてくる。死なない。
 お見事としか言いようがありません。またすぐに観にいきます。何度でも観ます。監督さんはじめ、スタッフ、キャストの皆さん、本当にありがとう。映画は素晴らしい。人生は素晴らしい。人間は素晴らしい!
 
カメラを止めるな!公式

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