『昭和の怪物 七つの謎』 保阪正康 (講談社現代新書)
今日は東京からお客様がいらっしゃいまして、いろいろとお話をいたしました。
その中の話題の一つ。二・二六事件。そのお客様はカトリックのクリスチャンでいらっしゃるので、話は自然と殺害された渡辺錠太郎教育総監の娘さん、渡辺和子さんの話になりました。
実は我が家は渡辺錠太郎さんと不思議な霊的ご縁をいただいたことがありまして、本当ならその話を和子さんにお伝えしなければならなかったのですが、残念ながら一昨年の年末にお亡くなりになってしまいました。
9歳の時に目の前で父親が軽機関銃で狙撃され、また日本刀でとどめを刺されるのを見たわけですから、それは大変なショックであったことでしょう。そして、それが戦中に洗礼を受けるきっかけになったことは間違いないでしょう。
「赦し」を語り続けた和子さんは、はたして父親を惨殺した青年将校たちを赦しているのであろうか…その答えがこの本に書いてありました。
やはり和子さんも人間でありました。赦せないと。ただ、それは青年将校を赦せないということではなく、背後の構図、裏で動き、逃げていた人たち…具体的には、保阪さんがおっしゃるように、真崎甚三郎であり、荒木貞夫でありましょう。
それを知って、私は逆にほっとしました。自分だったら絶対に赦せないと思っていたからでしょう。
NHKラジオでそのあたりについて語った和子さんの肉声がありました。ぜひお聞きください。
その他5人についても、保阪さんらしい「対話」から得た貴重な情報が満載のこの本。歴史そのものではないけれども、それを身近に体験した人たちの心の中の物語を知ることができます。本当はそれこそが歴史なのでしょう。ですから、人の数だけ歴史はあるわけです。歴史認識なんて千差万別で当たり前なのです。
Amazon 昭和の怪物 七つの謎
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