マレビトと教育
今日は北欧の学生たちがウチの幼稚園を訪問し、日本の幼児教育を見学しました。
そうとうショックだったと思いますよ。というのは、来週幼稚園の運動会でして、そのための練習をしていたからです。
ご存知のとおり、日本の「運動会」というのは世界的にも珍しい行事です。すなわち軍隊の教練の一部としての体錬(錬成)大会の流れと、ムラの祭の流れが見事に合流しているからです。
日本人としては、やはりムラの祭というイメージが強いけれども、外国人から見ると、どう見ても子どもアーミーにしか見えない。
そんな「日本的」な文化としての「運動会」の練習という、非常にマニアックなシーンをいきなり見たわけですか、それは北欧の皆さんは驚いたでしょう。
ただし、マイナスイメージではなく、どちらかというとプラスにとらえてくれたようです。北欧は特に子どもを自由に育てる傾向があるので、そのある意味正反対である日本式集団競技的幼児教育は、とても新鮮に感じられ、また自分たちの知らなかった子どもの可能性を読み取ったようです。
さらに引率した日本人の大学生たちも、自らが通ってきた「教育文化」について考えさせられる機会となったと喜んでいました。まさに国際交流の醍醐味ですね。
また今日はラッキーなことに、近所の下浅間さんで恒例の「やぶさめ祭」が行われていたんです。これもまた、日本人でもなかなか体験することができません。私も地元にいながら、ほとんど見たこと、参加したことがありませんでした。
流鏑馬はもちろん、御神事、神楽、獅子舞など、私にとっても興味深いことが目の前に展開し、さらにそれを外国人に説明することよって、今までとは違った深さで日本という母国をとらえることができました。
特に個人的に面白かったのは、獅子舞神楽が幼稚園を訪問してくれた時の様子ですね。いわゆる「マレビト」として訪問した神は、まず子どもたちを脅します。怖がらせます。泣きながら逃げ回る園児たち。
これなんか、外国から見ると「いじめ」に感じられるかもしれませんね。トラウマになるのではないかと。しかし、でも書いたように、それを大人が音曲やお金、お酒でもってもてなすことによって、「鬼」は最終的には穏やかな神に変化(へんげ)する。
それによって、子どもたちは神(自然)の性格を知ることができ、また大人に対する敬意や憧れを持つようになる。これって究極の日本的教育ですよね。
実際、最後、園児たちは獅子たちに「バイバイ」と手を振っていました。これこそが非日常たる祭の機能の一つでありましょう。社会教育ですよ。
とても楽しかったし、勉強になりました。考えてみると、「外国人」も「客人=まろうど=マレビト」ですよね。大事ですね。外の文化と交流し非日常を作り出すことは。コト世界にあえてモノを招くのであります。
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