Stevie Wonder 『Sir Duke』
今日はあまりにも有名なこの曲について、あらためていろいろ考えました。
学校のジャズ部がこの曲を練習していて、それ聴きながらふと思ったんですが、この曲の冒頭部分って、単純な分散和音、言うなればドミソドですよね。
そこからあのような展開をし、そして空前絶後の名曲になるわけですから、やっぱりスティービー・ワンダーは天才だあと。
なんだか、あんまりにも耳になじんでいて、冒頭の単純さに気づかなかった。ドミソドのドミソまではリズムもオンタイム、つまり4分音符が三つ並んでいるだけですよね。最後のドはちょっと前に食っているわけですが、たとえば左上のように記譜されることもあって、これだと、まるでドミソドです。それもユニゾンですからね、本当にこれ以上シンプルにはなりえません。
ドミソドという、ある意味究極の近代西洋音楽というかクラシック音楽の主軸を最初に提示しつつ、その後の展開は実に自由であり、その枠からはずれていく、その感じがこの曲の魅力です。
ジャズはまた違った方向性で、近代を超克していきました。スティービーの音楽性はそことはまた違った方法で近代を超克していきます。かっこいいすね。
彼がピアノなど近代西洋楽器を駆使しつつ、やはりブラインドであるために、最も明瞭に可視化された枠としての楽譜から自由だったのでしょう。
天才は天才であり、それがある種の欠如から生じているのはなんとも美しい事実であります。
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