『あさき夢みし』 実相寺昭雄監督作品
下の娘と観ました。ますますマニアックになっていくな(笑)。
ある意味全く面白くない作品でしょう。今なら絶対に作られない映画。ATGの作品はみんなそうか。
芸術を目指したのでしょうね。古典文学を読むような、現代的な意味での退屈さや困難さがうまく表現されている映画とも言えます。
しかし、よく観ると、見どころ聞きどころが満載でもあるのです。
まずはもちろん実相寺昭雄的映像世界。どアップ、歪んだ構図、不思議な光の効果。それが映画的非現実世界を作り出しています。意識して観ると実に面白い。作り手の視点で観るべきでしょう。
そして今回改めて感心したのは、大岡信の脚本の見事さですね。ストーリーはどうでもいい感じですが、一つ一つの日本語の選び方がお見事。
もちろん平安時代の日本語ではないわけですが、現代人の理解可能なかぎりでの「疑似古語」が実に美しい。これは本当にすごい。さすが現代語、古語に通じている大岡さんです。
それから廣瀬量平の音楽。これも「疑似古語」と同様「疑似古典音楽」ですね。うまい。実にいい。
ちなみに笛全般で名演奏をしている上杉紅童さんですが、今、ウチの娘が野村四郎先生に弟子入りしているのは、ある意味上杉さんのおかげです。私の教え子が能を志すことを決めたとき、上杉さんが山本邦山さんを介して野村先生を紹介してくれたのです。不思議なご縁です。感謝。
役者さんでいうと、岸田森の坊主頭がエロですね(笑)。耳もとがっていて、ちょっと私は親近感を覚えました。
あっ、それから能といえば、観世栄夫さんがちょい役で出ています。いい味出してます。
こういう映画は、実は海外で評価が高いんですよね。YouTubeにあったトレーラーも海外からアップされたものでした。
独身時代よく観ていたATG作品。久しぶりにいろいろ観てみようかと思います。
Amazon あさき夢みし
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