日本国憲法と仲小路彰
今年もまた憲法記念日がやってまいりました。昨年は施行70年ということもあり、安倍総理が大胆な改憲メッセージを出し、それが物議を醸しました(今でも侃々諤々)。
昨年は「元に戻す」のも改憲という記事を書きましたっけ。今読んでなるほどと思いました(書いたこと、考えたことも忘れていました)。
私は憲法「改訂派」であり、改訂に関する国民の議論が深まることを望んでいる立場です。そして、九条に関しては、国民投票の結果守られるだろうと予測しています。なぜなら、そこには昭和天皇の願いがこめられているからです。
現憲法がGHQによって1週間程度で作られたというのは事実です。そして最近では、「天皇の命」と引き換えに、日本側に「無条件降伏」を迫った、すなわちそのまま草案を受け入れさせたということが分かってきています。
それをもってますます、「アメリカに押し付けられた憲法だ。自主憲法制定を!」という声が高まってきているようにも感じます。
しかし、ここで考え方を変えてみますと、現憲法はまさに「天皇が命をかけて受け入れた」とも言えるわけで、それを破棄せよというのは、いささか乱暴に過ぎるようにも思えてきます。
日本国憲法成立に至る、こうした日米の裏側の取り引きについて、かの仲小路彰は逐一報告を受けていたようです。
そして、「天皇の命と引き換え」という意味をよく理解し、次のように語ったと言われています。
当時GHQ案の内容を伝聞した仲小路彰は、天皇を日本国民統合の「シンボル」とすることについて歴史的に見る天皇制度の実態に最も近いものだと指摘しており、「戦争放棄」についても、終戦時の『我等斯ク信ズ』で「今日ノ陸海軍ハ既ニ余リニモ旧弊ニシテ…大軍縮軍備撤廃ヲ為スモ何等恐レ忌ムベキコトニアラズ」と断言しており、積極的に賛成であった。(春日井邦夫「情報と謀略 下」より)
のちに、1953年、憲法改正論議が高まってきたころには、九条の基本は護持の方向、一条においては天皇を元首とすべきだという意見を述べています。
特に「それ(平和憲法)は日本の進むべき方向を明示した、むしろ、未来への宣言として考えられるべきものであり、近代国家概念をこえた次の時代に導く最も象徴的、哲学的な最高の理想というべきである。そこには改正されるべきなにものもないであろう」と述べていることは注目に値します。
仲小路彰の天皇論は非常に高次元です。その上で、天皇が地球平和に果たす未来的な意義を主張しており、憲法改正論議がどの時代においても現在の現実論にとどまっていることを憂えています。
そういう意味で、私も「元に戻す」のも改憲と言っているのです。
万が一有事の際には、近代成文憲法(いわゆるコト)なんていう次元をはるかに超えたモノが発動するでしょう。その時にはきっと改憲派も護憲派も納得せざるを得なくなると思いますよ。
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