M.S.ベレゾフスキーのグラーヴェ
今日は渋い、いやなかなか華やかな音楽を紹介しましょう。
昨日登場した格闘家のヒョードルはウクライナ出身。同じウクライナ出身の作曲家M.S.ベレゾフスキーのヴァイオリン・ソナタです。日本ではほとんど知られていませんが、ベレゾフスキーは31歳で亡くなってしまった天才音楽家でした。活躍した時代はヨーロッパで言えば前古典から古典派にかけての時代。ハイドンの長い人生の中にすっぽり入る感じです。
私もベレゾフスキーのことはほとんど知りませんでした。あまり資料もありません。本当にたまたまロシアのバロック音楽を調べていて知りました。
YouTubeなどで彼の音楽を聴いてみると、なかなか魅力的です。完全にヨーロッパ、特にイタリアの様式を踏まえていますが、どこか東方的(?)な雰囲気が漂う瞬間があって、それがなんとも言えないのです。
彼はオペラ歌手としても有名で、声楽の作品、特に宗教的合唱曲をたくさん残しています。しかし、器楽曲もなかなかいいんですね。やはり歌心があったのか、メロディーメーカーとして優秀だと感じます。
そんな中で、ヴァイオリン弾きの端くれである私が気に入ったのが、この1771年に作曲されたヴァイオリン・ソナタハ長調のグラーヴェです。
雰囲気としては前古典という感じですね。ガルッピの影響を受けたとも聞いています。なるほどですね。
このグラーヴェを両端の楽章も悪くありません。全曲聴いてみて下さい。
このころのウクライナは、ロシアに攻められてコサックが滅びるころでしょうか。地政学的に、ヨーロッパ、ロシア、そしてモンゴルに翻弄された歴史があります。そして、現代、今でもゴタゴタしてますよね。
そんな中、このような美しい音楽が作られていたのは興味深いことです。まあ、ベレゾフスキーもロシア帝国に仕えていたようですが。
こういう知られざる音楽に触れることができるようになったのも、インターネットのおかげです。なんともいい時代になりましたね。ほかにもいろいろ探してみたいと思います。
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