『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』 チェン・カイコー監督作品
まず結論から。かなり楽しめました。
そして、日本版タイトルが良くない。オリジナルの「妖猫伝」でいいじゃないですか。
正直、空海が主役ではない。日本人のためにそうしたのでしょうけれど、やっぱり黒猫ちゃんが主役でしょう。
というわけで、大学生になった上の娘にベースを届けるために、下の娘と吉祥寺に行きました。ついでに映画でも観るかということで、この「妖猫伝」を選びました(ちなみに昨日が入学式だったので、今日は代休だったのです)。
映画としては本当に魅力的だったと思いますよ。久しぶりに映画の世界に没頭しました。
夢枕獏の原作が優れているということもありますが、まず日中の人物絵巻として面白い。歴史に残る人々が出会っていたという事実(おそらく史実)。それだけでもワクワクしますね。
楊貴妃が日本に渡って生き延びたという伝説もありますが、なるほどそこに阿倍仲麻呂が関わっていたのか。ありえない話ではないところがまた面白い。
阿倍仲麻呂を阿部寛が演じているのがいいですね(笑)。いや、阿部寛も染谷将太も、中国人から見るとかなりエキゾチックに見えるでしょう。楊貴妃を演じた彼女も。
実際、超巨大都市「大唐」は非常に国際的な街だったと想像されます。その雰囲気もよく出ていた。
なにしろ「大唐」のセットがすごい。いやあ、今の中国は本当に力がありますね。お金も技術も世界最高レベルであり、そういう意味では唐代の再来かもしれません。日本はそこに乗っかったという感じで、そこもリアル唐代かも。
伝説としての妖術、幻術が、現代のそれと言えるCGによって蘇ったという点も、ある意味でリアルでした。CG嫌いのワタクシも、この作品に関しては納得。
そして、やっぱり黒猫マニアにはたまらない作品でしょうね。もちろんほとんどがCGでしたし、猫としては不自然な動きなどもありましたが、これも人間が乗り移った姿と考えれば案外自然。
かつて飼っていた黒猫の新之介に似ていることもあって、最後のシーンは泣けてしまいました。
というわけで、これは「妖猫伝」として観るべきですよ。繰り返しますが、「空海」だと思って観るとガッカリするかもしれない。彼はそれほど活躍していない。染谷くんはいい演技しているけれど。
あと、ごめんなさい。RADWIMPSの挿入曲はいらなかったなあ。夢が一気に醒めてしまった。エンディングだけで良かったのでは。
中国語(日本語字幕)版の上映が決まったようなので、そちらでもう一度観てみようかなと思わせる佳作でした。映画にうるさい下の娘も「良かった」と言っておりました。
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コメント
山口先生お久しぶりです。
私も今日この映画を観てきました。
このような迫力のある映画は絶対に映画館で観るべきですね。
2時間半が長く感じられませんでした。
私の印象に残ったのはカメラワークです。
ハリウッドとも日本とも違うんだあと。
中国語版も観たくなりました。
映画が終了し席から立つ際に70代と思える男性が
「疲れた、疲れた」と言っていたのが印象的でした。w。
投稿: ikehara | 2018.04.10 20:06