ブラッド・メルドー 『アフター・バッハ』
Brad Mehldau - After Bach
これはいい!
バッハ好き、ジャズ好き、どちらも納得でしょう。
と言いますか、私なんかどちらも好きだけれども、どっちもずっと聴いていると飽きてしまうというワガママな人間なので、こういうのが理想です。
自分でも、もし鍵盤楽器が弾けたら、まずバッハを弾いて、そこからインスパイアされてインプロヴィゼーションになだれ込むというのをやりたいと、ホントにずっと思ってました。
それが過去と現在と未来をつなぐ一つの方法だと思っていましたし。というか、過去と未来を同時に現在に出現させる方法とでも言いましょうか。
メルドーのピアノは、パット・メセニーとの共演で初めて聴きました。その時も、ある意味とてもクラシカル、知的な感じがしたんですね。
そして、ピアノ・ソロのあの東京でのライヴ録音を聴いて、ああ、この人ぜったいバッハうまいぞと思っていたんです。けっこうポリフォニックなインプロやってたんで。
そうしたら昨年バッハを録音したというウワサが伝わってきて、楽しみにしていたのです。
そして、やはり予想以上に良かった。まず、バッハの平均律の演奏が素晴らしい。呼吸している演奏です。ピアノならこう弾けと言いたい。キース・ジャレットより良かった。どうせなら全曲聴きたいなあ。
そして、そのバッハの間にオリジナルがはさまっている。前のバッハを受けてのインプロでしょう。それがまた「ちょうどいい」。また、次にバッハが来るわけですが、木に竹を接いだ感じが全くしない。これは驚きでした。
時空を自由に行き来する…音楽の本来の機能が見事に生きています。
ぜひお聴きいただきたい。実はこの「After Bach」、1曲目は「Before Bach」なんですよね。なるほどですよ。
そしてバッハの平均律のあの曲が演奏され、そして次がこのメルドーの「ロンド」です。バッハファンなら何の曲のあとに弾かれたか分かりますよね。
本当に素晴らしいアルバムです。このシリーズをどんどん出してほしいな。そして、生でも聴いてみたい。
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