『戦後 春陽文庫 資料集成 β版』 小野純一編 (盛林堂ミステリアス文庫)
私はあまり詳しくないのですが、知り合いの古書マニアの方から紹介いただきました。
春陽文庫、私が初めて文庫サイズの本を読んだあの日。ちょっと大人になったような気がしました…ということは鮮明に覚えているのですが、しかし、それが小学校何年生の時だったのか、その本がなんだったのかは定かではありません。
曖昧な記憶をあえて無理やりクリアに画像処理したところ、どうも江戸川乱歩の「パノラマ島奇談(綺譚)」だったような気がしてきました。まあ、気がする程度ですが。
そうしますと、たぶん昭和39年版の春陽文庫ですね。友人の誰かに借りた記憶があります。その内容はもちろん、文庫の小ささ、装丁の渋さなどが、きっと少年ワタクシをアヤシイ気持ちにさせたのでしょう。
さて、そんな春陽文庫、私もその後何気なく何冊か読んでいると思いますけれども、とにかくその全貌が分からないことで、ある意味有名な文庫です。
その全貌に迫ろうとして断念した人は多数いたでしょう。そんな中、「とりあえず」リストを作っておこうと立ち上がってくれた方がいました。
小野さんは、昨年の夏頃から神田の古本市場に出回り始めた戦後の貴重な春陽文庫を買いあさり、なかばご自分のためにこのリストを作られたようです。
それでも、全貌にはほど遠いということでβ版と名付けられているのでしょう。というか、もしかすると永遠にβ版だったりして(笑)。それほどに、この春陽文庫の沼は深いらしい(私は全然はまっていないので分かりませんが)。
ちなみに、私の職場のすぐ近くにある昭和24年以来続いている本屋さんの屋根横には、堂々と「春陽文庫」の文字が踊っています。
まあ春陽文庫自体、まだしっかり存続していますから、この看板というか宣伝もちゃんと生きていいるということですよね。
ちなみに、春陽堂書店と言えばですね、私が今研究しつつある仲小路彰が、東大卒業後編集者として勤めた会社でもあります。仲小路は、そこでヘーゲルやマルクスの弁証法についての本の編集にあたっています。
考えてみれば、仲小路彰の書き残したモノは、春陽文庫の全貌を森とすればですね、まるで富士山全体とでも言うような量と質と未知・未発見加減です。
全貌を、なんて言わないで、こちらも「とりあえず」のβ版を作らねばなりませんね。
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