仲小路彰 『女性の問題』(グローバリズム 二十一世紀の世界と日本像より)
今日はいろいろな人と女性論を語り合いました。先週のチャンネル桜の討論も「女性の幸せって何?」 でした。
保守派の女性たちの討論でしたが、これはこれで面白かったし、案外未来的な感じがしました。
特に「男の幸せが女の幸せ」的な論説は、ある方面からは思いっきり批判されそうですけれども、生物学的には実は本質をついているかもしれませんね。
「恋の奴隷」からの「実は女優位」論も納得であります(笑)。賢い女は強い。
よろしかったらこの討論もご覧ください。
さてさて、ある意味男尊女卑から男女平等へと激動した昭和という時代を裏で動かした、天才哲学者、思想家、仲小路彰は、二十一世紀は女性の時代だということを重ねて予言しています。
その女性論は非常に深く高尚なものなのですが、今日は仲小路の女性論のわかりやすいものを紹介しましょう。
この文書には昭和39(1964)年8月15日の日付があります。私が生まれる二日前に発行されたものです。
冊子のタイトルは「グローバリズム 二十一世紀の世界と日本像」。50年以上前に「グローバリズム」ですよ。いや、仲小路彰はすでに戦中からグローバリズムを構築していました。まだ、英語の辞書に globalism という単語がなかったころからですよ。
政治、経済、文化など広範な内容なのですが、その中に「女性の問題」という節があります。今日はそれを全文書き写してみたいと思います。
二十一世紀になった今、この半世紀前の予言を、皆さんはどのように読むでしょうか。
(以下引用)
女性の問題
これまで全く家事的な多忙に明け暮れして、ほとんど何らの自主性を持ちえなかった近代女性は、再び原始の女性は太陽であったとの強いあこがれをもって未来的に自由な前進をはじめようとする。
古いとざされた封建的家庭は、その根底から動揺し、破壊され、その後には全く関節のはずれた体のような苦しみが今日の家の暗いムードとなっている。
しかし、未来の女性のあり方は、もし女性が男性との同権を主張するあまり、男性と同じ仕方をまねするならば、それこそ、いよいよ時代おくれのあわれな存在となるであろう。なぜなら、すでに戦争のなき世界は、男性中心の社会ではあり得ないからである。
これを悟らず、これこそが先端女性と思って、ただ男のなす業をわれも負けずにと摸倣し競争するならば、それこそこれ以上の時代錯誤はないのである。
ある意味で二十一世紀は、平和な文化的世界の典型として、わが平安朝の女性的天才の自由なる表現をなした時代的様相に似たものとなる傾向を示すであろう。
いわゆる才女と称せられる彼女らは、紀貫之の「土佐日記」を創作せしめたほどであり、かの「源氏物語」にいたっては、日本はおすか全世界にあっても、それに比べるべきものを見出しがたいものである。
かかる教養ある女性文化こそ、次に来る文明の母胎をなすものであり、ここには男性のなし得ない独特な美的世界の開花を示すものとなる。
かかる人間をいかにして形成するか‥‥
その人間教育のためには、先ず地球文明建設というグローバリズム体系を組織する研究所の設立をなす。
それにより創造的人間をつくり出すアカデミーを必要とする。
これらの教育機関は、あくまでも自由で純粋な人間開発を目的とするものである。その中心的な地点に、自然美と歴史的伝統を本有して、さらに現代文明のすべてを吸収し、蓄積した日本こそが、最適の地としてえらばれるのも当然である。
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