『愛国とノーサイド 松任谷家と頭山家』 延江 浩 (講談社)
今日は、この本にまつわる人たちが、微妙に日常に食い込んできた不思議な日でした。
まず、学校においでになったあるお客様の口から「頭山満」の名前が出てびっくり。なにしろ、その方のお父様は玄洋社で頭山満本人のすぐ近くにいたとのこと。事情があって山梨に戻ることになったそうですが、その方のお墓の文字は頭山自身の揮毫とのこと。本当に驚きました。
たまたま私は出口王仁三郎関係で頭山満のことをよく知っていたわけですが、普通の学校の先生だとあんまり知らない名前なのではないでしょうか。実際、その方も、私がよ〜く知っているので驚いてらっしゃいました。
その方もおっしゃってましたが、右翼の大物なんていう捉え方は全く間違えています。大アジア主義者ですし、本当の意味での尊王愛国者でした。王仁三郎もそうですが、右も左も関係ない。
それから、今日はYMO結成から40年の日。そんな日に、仲小路彰文献を整理していたところ、アルファレコードの内部資料とおぼしきものを発見しました。
1979年と1980年、すなわちデビューした翌年と翌々年の、YMOに関する内外の記事をまとめた資料です。
右の冊子の表紙の上に置いてあるのは、資料にはさまっていた川添象郎の名刺です。アルファレコードの取締役制作担当という肩書です。
この本にも川添象郎さんは何度も登場します。象郎さんは、キャンティのパパ川添浩史(紫郎)の長男。川添浩史は仲小路彰の実動体の一人でした。象郎さん自身も何度も山中湖の仲小路邸を訪れた形跡があります。
おそらくYMOの活躍を仲小路に報告しに行ったのでしょう。ちなみに細野晴臣さんも中沢新一さんらと山中湖に来ていますが、その時は晩年の仲小路は入院中で会うこと能わずでした。
象郎さんが関わったミュージカル「ヘアー」の話もこの本に出てきます。以前書いたかと思いますが、仲小路邸では、ボツになった寺山修司版の「ヘアー」の自筆脚本のコピーが発見されました。非常に貴重なものです。
そう、この本には昭和のアーティストや政治家の名前がじゃんじゃん出てくるわけですが、その人たちのほとんどが、なんらかの形で仲小路彰に関わっています。
ユーミンというネーミングをしたシー・ユー・チェンさんも、著書の中で仲小路彰の「未来学原論」について書いていますから、当然ユーミン自身もキャンティで仲小路の思想の一端に触れたことでしょう。覚えていらっしゃるかなあ。
岸信介、佐藤栄作については言うまでもありません。東西冷戦期における、アメリカを利用した日本の復興、独立という観点は、まさしく仲小路彰のアイデアそのものです。
それからこれもまた不思議なのタイミングだったのですが、私の静岡の実家の町内に、大杉栄の墓があることを本当に最近知りました。安藤輝三でも驚きましたが、もっと近くの墓苑にあったのです。不覚にも知らなかった。
この週末実家に行く用事があるので参ってみようと思っていた矢先、この本の中に「伊藤野枝と大杉栄」という章があり、興味深く読んだのであります。
ここにも頭山満が絡んでいたのか。なんとも不思議な感じがします。もう明らかに霊界に動かされている…そう思わずにはいられません。
それにしても、この本、本当によく調べていますね。私はたまたま仲小路のことを調べていたし、音楽が好きなので、だいたい出てくる名前は知っているものでしたが、普通の人にとってはちょっと混乱するかもしれません。それほど多くの人物が、この松任谷家、頭山家には関係してくるんですね。
ここに、さらに仲小路彰を絡ませたら、もう日本の政治家、実業家、芸術家はほとんど網羅されてしまうでしょうね。
御世代わりによって、昭和が前前時代にならんとしている今、こうして昭和のエネルギーが私たちに語りかけてきているモノとは、いったいなんなのでしょう。単なるノスタルジーではなく、真剣に感じ、考えていきたいと思います。
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