新井紀子 『AIは大学に合格できるか』(TED)
最近、AIの専門家と意見交換する機会が多くあります。そこには実は教育の問題が大きく絡んでくるのです。
それが一番よく分かるのが、この動画でしょう。
一橋大学法学部在学中に数学に目覚めるというユニークな経歴をお持ちで、東大合格を目指す東ロボくんの開発者である新井紀子さん。
AIはすでにMARCHレベルの大学に合格できる能力を持っているけれども、東大に入れないというその理由がよくわかります。
今ちょうど東大入試国語の指導をしていますが、たしかにあれはAIには解けないだろうなと思います。あまりに文脈力、行間読解力を必要とするからです。
しかしMARCHレベルなら合格できるとなると、ある程度の知的作業は、人工知能によって代行できるということになります。
もちろん、それは悪いことではなく、その部分、すなわち機械でも可能な部分は機械にまかせておけばよくて、人間はそういう意味ではとっても楽に生活できることになるということでもあります。
そして、現状では機械の苦手とする分野について、時々能力を発揮すればよい。
これは、私たち教育者が学校で行なってきた勉強内容を見直しなさいということでもありますね。機械ができることは学ばなくてもよいというわけではありませんが、力の入れどころに関しては、今までの知識詰め込み型学習、特に一問一答クイズ的知識ばかりをはかる試験に向けての学習ではなく、もっと創造的な学習を促す方向に変えなければなりません。
つまり、より「人間的」な勉強をしなければならないということですね。これはもちろん悪いことではありません。AIのおかげで、私たちは人間性を取り戻すきっかけを得るかもしれないのです。
異常に保守的な日本の教育界が、はたしてそういう変化を受け入れられるのか。これこそが、日本という国の未来を占う大きな要素になってくるでしょう。
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