「なぞなぞ」の語源
今日もまた語源のお話。いちおう国語の先生ですからね(笑)。
とか言いつつ、今日は某クラスの授業でなぞなぞをやりました。冬休み前ということでちょっとサービス。
で、そういえば「なぞなぞ」という言葉、枕草子にあったなと思い出しました。138段ですね。原文と現代語訳はこちらでどうぞ。
「なぞなぞ」は言うまでもなく、「なぞ」という言葉を重ねたものですね。だから上に紹介したサイトにも「謎々」と表記されています。
それはそれで間違いはありませんが、枕草子の原文を見て分かるとおり、もともとは「なぞなぞ合わせ」という遊びがあったようです。
歌合の進化版みたいなもので、基本和歌に関する知識を問い合うゲームです。この枕草子の段では、「天に張り弓」とかけて「三日月」と解くという、めちゃくちゃ分かりやすい「なぞなぞ」を出してしまった恥ずかしい男のことが紹介されています。
文中の最後の方に「なぞ、なぞ」とあるのは、訳せば「なんだ、なんだ」となります。たぶん、左右のチームに分かれて、片方が「(問題は)なんだ、なんだ」とたずねるのに対し、たとえば「天に張り弓…な〜んだ」と問題を出し、それにさらに「三日月!」と答えるというようなゲームだったのでしょう。
「なぞ」は「なんぞ」と発音されていた(撥音便の無表記・「ん」という文字が一般化していなかった)と思われるので、本当なら私たちも「謎」は「なんぞ」、「なぞなぞ」は「なんぞなんぞ」と発音すべきなのかもしれませんが、日本語の歴史を見ると、そういう例はたくさんありますのでOKとしておきましょう。
今でも、なぞなぞを出す時、必ず「〜もの、な〜んだ?」と言うのには、こういう伝統があったのです。
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