Horizon (Center Screen Version) / THE YELLOW MONKEY
先日の東京ドームの感動の一つに、このイエモンの新曲のMVがありました。
基本的に吉井和哉ワールドが連続する中に、本当に全く違った世界観がドームを支配しました。私も含めて周りの人たち、みんな静かに泣いていました。
この曲はギターのエマ、菊地英昭さんの作詞作曲です。だから違うのは当然ですが、それを歌う吉井さんの優しい歌声がまたなんとも際立って美しかった。ある種のギャップがたまらない。
やはりひとの、それも愛する友の作品を歌うことには特別な感情が伴うのでしょう。もちろん、エマからロビンへのメッセージという意味でも、また私たちファンへの贈り物としても美しい。
菊地英昭さんの曲(作曲)と言えば、私の大好きな「空の青と本当の気持ち」があります。あの曲の浮遊するような優しさもまたエマらしさでありました。
それから、思わず私もつぶやいてしまったのですが、この曲、メロディーも歌詞もちょっと藤巻亮太くんっぽいですね。すなわちレミオロメン。Horizonというタイトルも。まあ、どちらが先かというのは微妙でありますが、おそらく共有する何か音楽的ルーツがあるのでしょう。無意識にしても。
また、これは勝手な思い入れですが、「打ち上げ花火」が出てくるあたりは志村正彦くんっぽい感じもする。後半に一度だけ登場する「胸キュンコード進行」(「流してくれるだろう」のところ)も。吉井さんとはまた違った意味での繊細さを感じるところです。
と、私は個人的ないろいろな思い出や感傷にひたりながら、この曲をドームで聴いていたわけです。しかし、おそらくはファンの皆さん全員が、それぞれの過去と現在と未来に対する切ないまでの愛を感じたことでしょう。
言葉を伴った音楽、すなわち歌というものは、そういう次元で私たちの心を振動させるのです。何度も書いているとおり、音楽は人間に唯一与えられた高次元宇宙へのアクセスの方法なのでした。
そして、音楽は映像と組み合わさることでさらに次元上昇します。これは映画音楽の例を考えればよくわかります。音楽が映像を際立たせるのか、映像が音楽を際立たせるのか、その両方なのか。
この素晴らしいミュージック・ビデオは半崎信朗さんの作品。当然、半崎さんが音楽にインスパイアされて作った映像ですから、音楽が先にあったのでしょうけれど、しかし、面白いのはその映像によってまた音楽のイメージが広がる。決して狭まるのではなくて広がる。もちろん、優れた映像だからです。正直狭めてしまうMVもありますよね。
1980年代のMTV文化以来、音楽には必ず映像が加えられるようになりました。それを音楽の堕落だと言った人もいましたし、私自身もちょっとそういう感想を持っていたのも事実です。
しかし、考えてみると、録音文化はここ100年くらいのものであり、映像のない音だけの音楽という方が異常だったのですね。もちろん、それ以前はライヴしかなかったわけで、当然そこには映像というか視覚情報が伴っていたわけです。
そういう意味でも、早く「オトトキ」を劇場で観たいなあ。映画音楽ではなくて音楽映画になっているでしょうから。
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