『原節子の真実』 石井妙子 (新潮社)
昨日の続き。優れた評伝。実に面白かった。文章も秀逸。
原節子と、義兄熊谷久虎について、非常に詳しく書かれています。一箇所だけですが、仲小路彰の名前も出てくる。もちろんスメラ学塾主宰として。
今、数人で仲小路彰邸内を整理しているのですが、その中で熊谷久虎の名前が入った文書が多数見つかっています。ちなみに原節子の名前が入ったものは、私の知る限り一つだけ。この本の著者の石井さんにもいずれお伝えしなければならないでしょう。
原節子がなぜ独身を貫いたのか…その答は、仲小路彰がなぜ独身を貫いたのかという問いの中にあるような気がするのは、私だけでしょうか。
実は、当時の関係者から、そういう噂を聞いたこともあります。今まで知られていた(知られていなかった)以上に、仲小路と原の関係は近かったのでしょう。
この本の第六章「空白の一年」にあるように、熊谷久虎のスメラ学塾入塾(川添紫郎ルートでしょう)を通じて、原節子も仲小路彰と深く関わったと思われます。
ただ、人気女優であったからでしょう、その名前はその当時の仲小路文書の中には出てきません。
また、地元山中湖の方々に聞いても、原智恵子や三浦環が仲小路彰と一緒にいたことは覚えていても、原節子がいたとか来たとかいう話はありません。また、実際に智恵子と環の資料は山中湖で大量に見つかっていますが、原節子に関するものはほとんどありません。
しかし、昭和19年から20年にかけて、お忍びで山中湖の「サロン」に来ていた確率は高いと思います。熊谷、川添との関係を考えれば、そう考えるほうが自然なほどです。
原節子に関する資料が「ほとんどない」と書いたのは、私の知るかぎり、戦後になってのある文書(映画企画書)に、細川ガラシャをはじめとする日本の歴史上重要な女性を演ずるのは原節子しかいないというような内容があるのみです。
この本にも書かれているとおり、原節子が映画人としての晩年に異常に「細川ガラシャ」にこだわったのは、仲小路彰の話を聞いたからに違いありません。仲小路は細川ガラシャに関する文章を多数残していますし、「ガラシア物語」という歌曲集まで作曲しています。
そのあたりの富士山を取り巻くミッシングリンクには興味がわきますね。
いずれ、この本の筆者石井さんにも山中湖に来ていただきましょうか。「原節子の真実」のそのまた真実が眠っている可能性がありますので。
Amazon 原節子の真実
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『重臣と青年将校 陸海軍流血史』 土居通芳 監督作品(2025.02.14)
- 『東京音頭』を唄った三嶋一聲は20世紀の浦島太郎?(2025.02.12)
- 映画『226』無料公開中(2025.02.11)
- 『東京暗黒街・竹の家』 (サミュエル・フラー監督作品)(2025.02.07)
- 『ホットスポット』(バカリズム脚本)(2025.02.05)
「音楽」カテゴリの記事
- スペクトラム ファイナルコンサートat 武道館(2025.02.13)
- 『東京音頭』を唄った三嶋一聲は20世紀の浦島太郎?(2025.02.12)
- S.L.ヴァイス 『パッサカリア ニ長調』(2025.02.09)
- 藤井風 『若者のすべて』(志村正彦)(2025.02.04)
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『東京音頭』を唄った三嶋一聲は20世紀の浦島太郎?(2025.02.12)
- 南部と津軽と甲州と…(2024.07.31)
- 死なない力(2024.07.18)
- 『今永昇太のピッチングバイブル』 (ベースボール・マガジン社)(2024.07.17)
- ハイデガーVS道元…哲学と仏教の交差するところに、はじめて立ち現れてきた「真理」とは?(2024.06.03)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 全日本プロレス祭 アリーナ立川立飛大会(2024.08.17)
- 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 武内英樹 監督作品(2024.08.16)
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 列車走行位置情報(2025.02.08)
- 『東京暗黒街・竹の家』 (サミュエル・フラー監督作品)(2025.02.07)
- うなぎ屋 江戸名代亜門 根津総本店(2025.02.06)
- 『ホットスポット』(バカリズム脚本)(2025.02.05)
- 藤井風 『若者のすべて』(志村正彦)(2025.02.04)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 『重臣と青年将校 陸海軍流血史』 土居通芳 監督作品(2025.02.14)
- 『東京音頭』を唄った三嶋一聲は20世紀の浦島太郎?(2025.02.12)
- 映画『226』無料公開中(2025.02.11)
- 『東京暗黒街・竹の家』 (サミュエル・フラー監督作品)(2025.02.07)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
コメント