「シンギュラリティ」はあり得るのか
一昨日の話の続きでしょうか。私の得意なモノ・コト論と高次元論に結びつけて、「シンギュラリティ」について少し考えてみましょう。
最近よく聞く言葉「シンギュラリティ」。AIが人間の知能を超えることによって起きる事象のことです。2045年がその特異点だとも言われ、近未来に対する期待と不安からか、多くの書籍が店頭に並んでいますね。
AIが人類を救うという論もあれば、AIが人類を滅亡させるという論もあり、まさに両極端。いつの時代にも近未来予想はそういう傾向を持ちます。
しかし、少し冷静に考えれば、今までの歴史がそうであったように、どんな新しい技術革新にもその功罪があって、私たちは、それをうまいことバランスを取りながら、なんとか自分たちの制御範囲内におさめてきたことに気づきます。
おそらくはAIも同じような状況になるだろうと、私は楽観視しています。
ただ、今までの技術というものは、身体の拡張としてのそれがほとんどであり、たとえばコンピュータでさえも、せいぜい我々の脳みその記憶倉庫や単純な四則計算分野の拡張程度のものでした。
つまり、物質次元と情報次元レベルでの拡張にすぎなかったということです。
では、AIはどうでしょう。
私はAIもその次元を超えるものではないと考えています。すなわち、物質、情報よりも上位次元にある意識の領域までは、AIは入り込めないと判断しているのです。
意識とは、意志、感情、祈り、直感というようなものです。なんとなくわかりますよね。それらをあえて言葉(情報)として表すこともできますが、実際私たちの脳の中では、言語を介さずに表出、処理されています。
私はそれを「モノ」と呼び、いわゆる物質や情報は「コト」と呼んでいるんです。
西洋近代化以降の日本語の辞書では、「物質=もの」、「情報=こと」と書かれているため、私の解釈と矛盾し、混乱をきたすことが多いのですが、あくまで私は古来の日本語の「もの」と「こと」を研究した結果として、自らのモノ・コト論を構築していますので、そこのところどうかご理解いただきたい。
つまり、「もののあはれ」とか「物悲しい」とか「〜なんだもの」とか「もののけ」と言った時の「もの」は、物質化、情報化されない、ある意味不随意的な存在(「なんとなく」「なんだかわからないが」的な認識)だということです。
逆に、言語化(コトの葉化)できる事象、物質が「こと」であると。
で、話をAIに戻しますが、いくらAIがビッグデータを収集して、経験的確率的に最良の判断を下したとしても、それはあくまでも「データ」であって、まさに「コト」そのものでしかありません。
過去そのものとも言えますね。日本語では過去の事象を「こと」と言います。ですから、古事記は「ふることふみ」なのです。
逆に未来は「もの」ということになります。面白いことに過去の助動詞は「き」、未来の助動詞は「む」であり、「こと」と「もの」同様、kとmの音から成っています。これも偶然ではありません。
AIは「コト」しか扱わないので、絶対に「モノ」の領域には踏み込めません。未来予測をしているように見えても、それはあくまで、「こうだったからこうする」でしかなく、「こうなりたい」とか「こうあるべき」というような意志ではありません。
そう考えてみると、生物の進化というのは面白いですね。ダーウィンの進化論を思いっきり否定してしまいますが、私は進化は意志によって起こると考えています。たとえば、「寒いから毛が生えてほしい」とか、「食べられたくないから葉っぱと同じデザインになりたい」とか(笑)。
つまり、意識という上位次元が、物質という下位次元に影響を与えたわけです。そして、人間はその意識次元への接触能力が、他の生物よりも高かったため、驚異的なスピードと質の進化を遂げたと。
あくまで私の考えですよ。全然、現代科学的ではありませんが、もしかすると100年後には科学的になっているかもしれません。
ま、それはいいとして、とにかく(現在考えられている)AIは意識領域にまでは踏み込めないので、どう考えてもシンギュラリティは起きないのです。
AIはあくまでも記述できる言語の世界でしかありません。人間の心の大部分は言語化できません。モノ・コト論的に結論するなら、AIはあくまでコト、人間の心はモノであるということです。
Amazon AIが神になる日――シンギュラリティーが人類を救う
AIが人間を殺す日 車、医療、兵器に組み込まれる人工知能
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