武満徹 『翼』・『小さな空』
先日終了した都留音楽祭。そのクライマックスの一つ、4日目夜のクロージング・パーティーは本当に素晴らしかった。あらためて夢のような時間を過ごすことができたことに感謝です。
宴会芸というには、あまりにぜいたくな演奏の連続でした。
今思うと面白いのは、西洋古楽の音楽祭でありながら、なぜか日本の現代歌曲や歌謡曲の出し物が多かったことですね。
ふだん歌謡曲バンドをやっている私としては、非常にうれしいことです。海外の超一流歌手の皆さんをはじめとして、西洋古楽やクラシックを勉強している皆さんに、日本の歌の素晴らしさ、日本語の美しさを知っていただける機会としても最高ですよね。
特に今回は、ロベルタ・マメリによる武満徹の「翼」が最高でした。涙がどんどん湧いてきて困ってしまいました。つのだたかしさんのリュートによる伴奏。
武満の「翼」、ご存知の方も多い思いますが、もともとは劇音楽として作詞作曲されたものを、のちに自身が無伴奏合唱曲に編曲したものです。
ここでは、日本を代表する名アルト歌手、小川明子さんの歌唱、荘村清志さんのギターでどうぞ。本当にいい歌です。
小川さんの歌も最高にお上手ですが、マメリのあの表現はなんだったのでしょう。ネイティブでない人が歌う日本語に、独特の魅力があるのはなんででしょうね。いつも思うのですが。逆に純粋だからでしょうか。歌謡曲でもあるじゃないですか。アグネス・チャンとか(笑)。
非ネイティブ、純粋ということで言えば、これが究極でしょう。ボカロ。初音ミクの歌唱で「翼」を聴いてみましょう。
マメリの「翼」のすぐあと、今度はネイティブ中のネイティブ、波多野睦美さんの神声による「アカシアの雨」が演奏されました。これがまた泣けた…。歌ってすごいなあ。
ここではその演奏は紹介できませんが、同じつのだたかしさんとのデュオで、これもまた武満の名曲「小さな空」をお聴きいただきましょう。
武満のすごさはこういう大衆曲もきれいに作れることですね。そして詩もいい。天才。この曲も自身の作詞です。
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