聖徳太子日本国未来記
聖徳太子シリーズ。
聖徳太子自身が虚構だともいいますが、その虚構が書いたとされる偽書となれば、いったいこれはなんなのか…いや、グルっと回って真実になっているとか(笑)。
いつの時代にも、この聖徳太子の未来記を持ち出して、ある種の危機感をあおる人たちがいます。南北朝時代から700年以上続いている。これは「真実」です。
最近でも、未来記を現代流に解釈して、2016年に何かが起きる、それがはずれると2017年に…というふうに、相変わらず「伝統」は引き継がれています。
今日は時間がありませんので、オリジナル(?)「未来記」から派生したと言える書物の一つを紹介します。ネットで読むことができます。
慶安元年(1648年)発行の「聖徳太子日本国未来記」。
まず、弘前市立弘前図書館所蔵のもの。刊本を筆写したものでしょうか。
続いて、早稲田大学図書館所蔵のもの。
同書は巻末に「摂州天王寺の宝庫より出づ」とありますが、やはりアヤシイと言わざるを得ません。
やはり未来記に関わっているとも言える先代旧事本紀や、当地に伝来する宮下文書など、江戸期になり版本が出回って、歴史が庶民のものとなってからというもの、どんどんアヤシイ文献が「発見」されることになります。
それに影響を受け、ある種の事大主義に陥った文化人、学者もたくさんいました。そうした本居宣長や平田篤胤、佐藤信淵、そしてそこに強く共感した近代人、現代人も無数にいます。もちろん大歴史哲学者仲小路彰もその一人です(ワタクシもその一人です…笑)。
そのあたりの事情や現代につながる意義については、また機会を見て書きたいと思います。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『日本習合論』 内田樹 (ミシマ社)(2021.04.01)
- 『日本の感性が世界を変える 言語生態学的文明論』 鈴木孝夫 (新潮選書)(2021.03.30)
- 地下鉄サリン事件から26年(2021.03.20)
- 『ゲンロン戦記ー「知の観客」をつくる』 東浩紀 (中公新書ラクレ)(2021.03.01)
- いろいろな「二・二六」(2021.02.26)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 『海辺の映画館 キネマの玉手箱』 大林宣彦監督作品(2021.04.10)
- 『8日で死んだ怪獣の12日の物語』 岩井俊二監督作品(2021.04.05)
- 『日本習合論』 内田樹 (ミシマ社)(2021.04.01)
- 『日本の感性が世界を変える 言語生態学的文明論』 鈴木孝夫 (新潮選書)(2021.03.30)
- ホモ・パティエンス(悩める人)(2021.03.31)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 『海辺の映画館 キネマの玉手箱』 大林宣彦監督作品(2021.04.10)
- バッハ 『復活祭オラトリオ BWV 249』(2021.04.08)
- 和歌の予言力(2021.04.03)
- 南海トラフ地震や首都直下地震、富士山噴火。天災リスクのリアル(2021.04.02)
- 『日本習合論』 内田樹 (ミシマ社)(2021.04.01)
コメント