『今日すべきことを精一杯!』 日野原重明 (ポプラ新書)
日野原重明さんが、105歳の天寿を全うされました。最期の最後まで、まさに本当の長寿長命、人間にとっての健康、幸せ、仕事の大切さを体現し続けた人生でした。
このブログでも何回かご著書を紹介してきました。そこにも書きましたとおり、日野原先生と私とはあまりにもその命、人生の質が違いますけれども、ただ一つ共通していたのは、「一日一食」でした。基本夕食一食。
日野原先生の食生活や仕事ぶりを拝見し、私もずいぶんと勇気づけられ、そしておかげさまで健康に、そして幸福に日々を過ごさせていただいています。
あらためて、感謝の気持ちを表したいと思います。ありがとうございました。
日野原さんのご著書で最近読んだのはこの本でした。85歳の時のご本ですから、20年ぶりの新装版ということになります。その時から20年もずっと現役でいらしたんですからね。本当に驚きですし、尊敬申し上げたいと思います。
105歳ということでいえば、私なんかまだ折り返し地点にすら到達していない。本当に洟垂れ小僧です。
「人は必ず死ぬのだから、今日すべきことを精一杯やりなさい」という思想は、非常に仏教的であるとも言えます。過去や未来にとらわれず、「今ここ」になりきる。それが難しいから人は「生老病死」に苦しむのです。
医師はまさにその「生老病死」と対面する仕事。他者の「生老病死」を手助けするとも言える。その四苦は避けられないのだから、いかにその質を上げ幸福に転ずるか、それをアシストするのが医師の仕事とも言えます。
そういう意味では、私たちは職業上の医師でなくとも、他人の、そして自分の「生老病死」をしっかりプロデュースしていかねばならないはずです。それはもしかすると、修行のような厳しいものではなく、もっと軽やかで楽しいものなのではないか、そんなことを予感させてくれるのが、この本です。
まさに大往生された日野原さん。医学だけでなく、栄養学、哲学、倫理学、キリスト教や仏教、神道の立場から見ても、たいへん大きな遺産を残してくださいました。本当にありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
Amazon 今日すべきことを精一杯!
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 追悼 衣笠祥雄さん(2018.04.24)
- 追悼 馬場元子さん(2018.04.23)
- 追悼 ブルーノ・サンマルチノさん(2018.04.19)
- 渋谷すばる 『Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜』(2018.04.16)
- “100年後”も聞かれる音楽を――ユーミンが語る老い、孤独、未来(2018.04.13)
「心と体」カテゴリの記事
- 「利他の心」…ザ・リーダー 稲盛和夫(2018.04.11)
- 睡眠力=幸福力…不眠打破法(2018.04.04)
- 是非初心不可忘(2018.03.29)
- 薬師如来の薬壺の秘密(2018.03.25)
- ロダン「考える人」は背中で語る(2018.03.23)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『ミライの授業』 瀧本哲史 (講談社)(2018.04.10)
- 『戦後 春陽文庫 資料集成 β版』 小野純一編 (盛林堂ミステリアス文庫)(2018.03.30)
- 是非初心不可忘(2018.03.29)
- 『50mm』 高城剛 写真/文 (晋遊舎ムック)(2018.03.27)
- 『ニャンでもやればできる』 深見東州 (たちばな出版)(2018.03.18)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 松任谷ビル〜新宿西口(仲小路彰の残影)(2018.04.22)
- 【討論】属国からの脱出はありうるか?(2018.04.21)
- 『ミライの授業』 瀧本哲史 (講談社)(2018.04.10)
- 『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』 チェン・カイコー監督作品(2018.04.09)
- 大相撲の女人禁制について(2018.04.08)
「自然・科学」カテゴリの記事
- アインシュタインの教育論(2018.04.18)
- 「利他の心」…ザ・リーダー 稲盛和夫(2018.04.11)
- 『ミライの授業』 瀧本哲史 (講談社)(2018.04.10)
- キース・ジャレット・トリオ 『アフター・ザ・フォール』(2018.03.17)
- ホーキング博士宇宙の起源論(2018.03.14)
コメント