『安岡正篤の教え』 松本幸夫 (Kindle版)
おそるべし山中湖。
仲小路彰だけでも一生かけても整理しきれないのに、まあほかにもいろいろ出てくる出てくる。
最近では日本画家、富士山を描き続けた山元桜山に関する文献で面白いものを見つけました。これはこれでかなりヤバイですよ。
さて、このたび登場したのは、なんとあの「安岡正篤」。私にとっては二・二六事件の思想的背景として、また、玉音放送のあの詔勅に手を入れた人物として、あるいは「平成」の年号の考案者として、それなりに興味を持ってはいましたが、富士山と関係があったとは思っていなかったし、正直言うと著書も一冊も読んでいませんでした。
そこに突如現れたのでビックリ。
たしかに、安岡正篤は戦後の歴代総理の指南役としても有名で、たとえば佐藤栄作にも大きな影響を与えています。そうすると、当然仲小路彰との関係も想定されますよね。
表の黒幕(というのは変か?)安岡と、裏の黒幕(これも変か?)仲小路。
ただ私の勝手な印象ですと、やはり安岡は陽明学を中心とした中国の思想哲学をベースにしているため、仲小路のような世界的宇宙的なスケールとは少し違うような気がしています。もちろんどちらが優れているとかそういうことではなく。
というわけで、急遽、安岡正篤について勉強しなくてはならなくなったので、まずは原典に当たるのではなく、良き入門書をということで、この本を読んでみました。
おそらく専門家の方からすると、本当に入門の入門なんでしょうが、私のような門外漢にとってはまさに門から「失礼しま〜す」というのにちょうどいいくらいでした。
たしかにいいこと言ってますね。勉強になりました。
ただなんというか、これは自分の偏見なんですけど、中国って言ってることとやってることが違うじゃないですか。ああいう立派な哲学がたくさん生まれたのは、現実があんまりひどかったからですよね。論語なんか象徴的。
ということで、またまた勉強しなければならないことが増えてしまいました。やっぱり二・二六事件関係かなあ。安岡が戦前発行していた「篤農」もたくさん出てきました。あの当時のものを読むだけでも面白そうですね。
Amazon 安岡正篤の教え
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コメント
仲小路先生の晩年期に、新宿の師友協会事務所で安岡先生にお目にかかりました。「富士山麓皇居ご造営計画」を渡し、ご意見を伺いました。そのやり取りを仲小路先生にご報告すると、「それでいいんです。それでいいんです」と、優しく慰労して頂きました。それからしばらくして、先生のある文書に何故か「老腐儒」という文言がありました。安岡先生は山中湖(仲小路山荘)に来ていないはずです(ある方がつないで来村する予定でしたが、奥様が亡くなられ、中止となり当方がお使いに伺いました)。本ブログで仲小路先生の事が取り上げられますが、果たして先生が喜んでおられるのか、時々悩ましく感じています。
投稿: 樋口重喜 | 2017.07.05 22:53
樋口さん、いつも貴重な情報をありがとうございます。
またいろいろ教えてください。
投稿: 山口隆之 | 2017.07.06 08:16