徳富蘇峰 『経天緯地』の扁額
今日は全く想定外のお導きによって幸運に恵まれました。不思議としか言いようがありません。
上の娘が池袋ジャズフェスに出演するということで、朝学校に送り届けました。そのあとすぐに帰宅しようと思ったのですが、昨日から家のWiFiの調子が悪く、ずいぶん長く使っているのでそろそろ寿命かなと思い、近くの家電量販店に寄っていくことにしました。
ただ、朝早かったので開店まで小一時間あったんです。で、ふと思いついて地域の神社参りをすることにしました。まずは学校の近くの小室浅間神社(下浅間)へ。次に町内の渡辺大明神へ。ここはいわくつきの神社ですよ(こちら参照)。
そして、いよいよ家電量販店に行こうと移動をするその途上、ふと「あそこにもお参りしよう」とひらめき、久しぶりに天神社(機神社)へ。
すると、いつもは閉ざされている機神社の入り口が開いている。そして、正面の祭壇の上に、徳富蘇峰が揮毫した「経天緯地」の扁額が見えるではないですか。
お参りをすませてしげしげと中を覗いていると、氏子の方が私に声をかけてくださりました。そう、なんと今日は機神社(と軍刀利神社)の例大祭の日だったのです。全く知りませんでしたし、本来は5月15日に行われるべき例祭が、時代の流れで5月の第3日曜日に催されることになったとか。
いろいろ興味深いお話をうかがえた上に、「正午に神事があるから来てください」と、あまりに自然に言われてしまいました。なんというお導きでしょう。どこの誰とも分からぬ者に温かいお誘い、本当にありがたいと思いました。
さっそく家内と、神社の近所で織物業を営む家内の友人親子を誘って、正午に境内に行ってみますと、祭礼を執り行う神主さんと数人の氏子さんらが集まっていました。そして、なぜか私たちはゲスト(?)として神事に同席させていただき、さらに玉串奉奠まで仰せつかるという僥倖に恵まれました。
徳富蘇峰の扁額も間近に拝見することができ大感激。なにしろ、年に1回、この例大祭の日にしか一般の人は拝むことができないのですから。不思議すぎます。
さらに本殿右にあった奉納札を見ると、これまた驚きの事実が。
左から「金一封 県会議員 天野義近殿」、「金一封 衆議院議員 堀内良平殿」、「扁額揮毫 徳富蘇峰殿」、「扁額揮毫 陸軍少将 久世為次郎閣下」、「扁額揮毫 陸軍大将 宇垣一成閣下」。
蘇峰と久世と宇垣の両軍人は、山中湖に別荘を持っていました。蘇峰については説明するまでもありませんね。山中湖に住む文化人として、当時絹織物で隆盛していた下吉田の神社に関係したのはありえること。一方、和平派である意味陸軍の中では悲運であった宇垣一成が、この小さな神社に関わっていたのは意外でしたね。総理大臣になりそこねた人物です。
また宇垣は、のちに山中湖に疎開してきた仲小路彰とは昵懇の仲となり、時に仲小路に叱責されたとも伝えらています。最近仲小路彰を研究している私が、こんなところで宇垣一成の名前に出会うとは思いもよりませんでした。
まったく不思議な霊縁であります。そう、この一連のお導きのオチもありました。夜、ある人から久しぶりに電話があったのですが、その方は徳富蘇峰の研究家であり、この機神社の扁額の「再発見者」だったのです。
今日の話をすると先方も驚いておりました。こういう人知を超えた流れがある時は、何かの使命をいただいた時です。それをしっかり見極めて役目を果たしていきたいと思います。本当にありがとうございました。
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