ものまね芸人さんから学ぶ神事
今日はご縁がありまして、ものまね芸人の方々とお話する機会がありました。
神奈月さん、ホリさん、エハラマサヒロさん、ミラクルひかるさん、みかんさんという、超実力派の大御所の皆さんです。
いろいろなお話ができて、本当に勉強になったのですが、中でも憑依系(?)であるミラクルさんに私の「ものまね=招霊」説をお伝えできたことは嬉しかった。
それを脇で聞いていたホリさんが、「そうですよね、ものまねは日本書紀なんかにもそのルーツが書いてある」とおっしゃっておりました。
そう、「ものまね」という言葉は出てきませんが、記紀に登場する「隼人舞」は、まさに招霊して「ものまね」をする種類の舞です。
つまり、もともと「ものまね」とは神事であって、だからこそ多くの舞が今でも神社で奉納されているわけです。
ちなみに記紀の時代から、そのような神事としての「招霊(ものまね)」をする人を「俳優」と呼んでいました。「はいゆう」ではなく「わざをき」と読みます(こちらの記事参照)。
「わざ」というのは、神霊の力のことです。「ことわざ(諺)」や「わざはひ(災)」の「わざ」もそういう意味です。良い意味でも悪い意味でも、人知を超えた力ということです。
そして「をき」は「をく」という動詞の連用形。「をく」を漢字で書くと「招く」であり、意味もまんま招くです。ですから、「俳優」も「招霊する者」という意味なんですよね。
ついでにいいますと、「をかし」という古語の語源は「招く」です。「招きたい」、つまり「常に手元に置いておきたい」、現代風に言いますと、録画しておきたいとか、フィギュアとして所有したいとか、そんなニュアンスです。
ということは、たとえば俳優さんが物真似をして、それを私たちが「面白おかしい」と思うのは、千数百年前の理屈のとおりだということですね。
それにしても、超一流のものまね芸人さんの皆さんは、ホントすごすぎました。日本古来の伝統文化を継承する、それこそ神人に見えましたね。心から尊敬いたします。皆さん、見事に招霊していました。
上の動画は京田辺市に伝承する「大住隼人舞」です。あえて九州のものではなく、京都に伝来したものを紹介しておきましょう。というのは、田辺の月読神社は、能楽の宝生流と深く結びついているからです。ここでまた観阿弥・世阿弥の「ものまね」論とつながります。
そのあたりについては、またじっくり書きましょう。
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