修学旅行最終日〜テレマン最後の受難曲
修学旅行も最終日。午前中金閣寺と嵐山を訪れ、新幹線にて帰途につきました。
生徒たちは仲間たちと非常に楽しい時間を過ごし、また多くのことを学んだようです。本校では、卒業式を終えたのちに修学旅行ですので、半分は卒業旅行という感じです。高校に行くと、それぞれクラスがバラバラになりますので、本当に友人たちと最後の思い出づくりとなるわけですね。
今や修学旅行は2年生の時に行く、あるいは3年生になってすぐに行くというのが定番ですが、こういう本当の「修学」旅行もいいですね。
ちなみに「修学旅行」は明治の初期から長途遠足や行軍旅行という形で行われていました。昭和に入ると、国家神道教育の一環として、たとえば伊勢神宮に参拝するというこような形で定着していきました。
戦後は当然、そうした目的ではなく、歴史学習、平和学習という目的で行われるようになりました。本校も基本そういう形態をとっています。
私は団長として毎年引率しておりまして、結果として1年に1回は同じところを訪れることになるわけですね。そのたびにいろいろ感じることが違うわけですが、今年は特に、19日の熱海行きからの流れで、まさに近過去の大東亜戦争史を振り返るような旅になりました。
そして最終日。どういうわけか新幹線の中でテレマンの受難曲を聴きたくなったんですね。
テレマンは50曲近い受難曲を書いています。それぞれなかなか興味深い音楽なのですが、特に私がすごいなと思うのは、テレマンの生涯最後の受難曲です。
このマルコ受難曲、1767年の作といいますから、最晩年も最晩年。亡くなる年に作られています。
1767年と言えば、ハイドンは35歳、モーツァルトも11歳、あと少しするとベートーヴェンも生まれるというような、古典派の黎明期になります。
保守的なバッハに比べ、進取の精神に富んだテレマンは、新しい時代の音楽にも敏感でしたから、たとえばこの最後の受難曲なんかも、バロック音楽という枠をはみ出していて、それが不思議な魅力になっています。
この曲の録音は、1996年のライヴ盤がありまして、Google Play Musicなどで聴くことができます。コラールの和声なんか、かなり新しく、まるでロマン派のような響きがする瞬間まであります。
自らの死期もある程度意識したのか、他の受難曲よりも力を入れて作曲しているように聞こえます。
残念ながらYouTubeなどに全曲の演奏はないのですが、第14曲の「Lamento」だけありましたので、ぜひお聴き下さい。この「涙」の表現、今聴いても新しいというか、不思議な感覚になりますね。
今日はこの曲を英霊たちに捧げたいと思います。
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