ターニャ・アニシモヴァのチェロ版シャコンヌ
J.S. Bach, Chaconne (arr. Tanya Anisimova)
昨日はビルスマの無伴奏チェロ組曲を紹介しましたが、今日はちょっと違うタイプのチェロによる無伴奏をどうぞ。
チェロでバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータを演奏する人はけっこういます。
一つのパターンとして、(私がヴィオラでそれを演奏するように)、5度下げてある意味原曲どおり弾く方法がありますね。
その場合、ヴィオラならまだしも、チェロだと運指が大変です。ヴァイオリンで手がつりそうになるのに、チェロだとほとんど人間の現界に近い指の形を要求されます。
昨日の記事にも出てきたビルスマの本にも、ヴァイオリンでいまいちな奏者がチェロに回ってくることがあって、そのためヴァイオリン的な運指でそのまま演奏したことがあったというようなことが書いてありました。ヴィオロンチェロ・ダ・スパラなんかそういう事情で重宝されたんでしょうね。
しかし、このロシアの女流チェリストは違います。かの有名なシャコンヌを原曲通りニ短調で演奏しています。彼女自身によるアレンジ。
いやあ、これがカッコイイのなんのって(笑)。ロックですねえ。これは演奏スタイルとかそういう細かいことは抜きにして、本当に魅力的な音楽演奏のあり方だと思いますよ。細かいミスもありますが気にならない。
やっぱり音楽はヴィジュアルも重要ですね(笑)。こんな美しいご婦人が、こんなに荒々しく、激しく、そして時に瞑想するようにバッハの音楽を構築していく。
技術的には、実に近代的、現代的な運指ですしボウイングですが、たとえばこれをバッハ自身が聴いたら、それなりに納得というか感動してくれるのではないでしょうか。
そういう意味、すなわちバッハの想定外の事態としては、こちらで紹介したヴァイオリン一本で演奏する「大フーガ」なんかもスゴイですよね。理屈なんか抜きで、人間ってすごいなって思います。
私、このターニャ・アニシモヴァというチェリストのことは全く知らなかった。なかなかいい奏者ですね。
様式無視だけれども(笑)、ものすごくいいなと思ったのは、このロカテッリのチェロ・ソナタです。原曲はヴァイオリン・ソナタ。この冒頭から連発するスピッカートは、実はオリジナルの楽譜にも指示があります。ヴァイオリン演奏技術の開発者としても有能だったロカテッリらしい。
そんなロカテッリでも、これをチェロで弾かれたら驚きでしょうね。
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