戦前戦後史人権フォーラム「2.26事件とゾルゲ事件そして岐阜の人々−安藤輝三・尾崎秀実・伊藤律」
忙しくて、こちらも簡単な報告になってしまいます。いろいろ書きたいことはあるのですが…。
今日は二・二六事件から81年目の日。一昨年から突然、二・二六事件、特に安藤輝三大尉と時間を超えた不思議なご縁をいただいた私たち夫婦。
この日をどのように過ごすか考えていたところ、なんと2・26事件で反乱指揮の安藤大尉 処刑直前の手紙を26日に中津川で公開というニュースを偶然目にして、急遽岐阜は中津川市に向かうことにしました。
富士山から中津川まで高速道路を使って約3時間半。考えてみると、リニアが開通すれば10分くらいで着いてしまうんですよね。それほど直線距離は近いのに、南アルプスのおかげでとても遠く感じる「岐阜県」です。
結論から申しますと、時間をかけて行った価値は充分すぎるほどにありました。安藤輝三さんの甥っ子であられる安藤徳彰さんにお会いでき、そして発見された「遺書」の実物などに触れることができただけでも、本当に感涙ものでしたが、またそれと同じくらい、登壇者の皆さんのお話が興味深く興奮を誘うものでした。
私もある程度、本当にある程度ですが、仲小路彰を学ぶ中で、ゾルゲ事件のこと、特に尾崎秀実やその愛人だったと言われる関屋敏子(三浦環の弟子です)、そしてタイムマシーンに乗って帰国し(?)戦後史にまで大きく関わってくる伊藤律についても知識はありました。
しかし、今日聞いたお話は、そうした私の先入観、先入知識を完全に覆すものでした。陰謀の裏の陰謀。スパイがスパイではなく、スパイではなかったはずの人がスパイだった…。
そんな単純なことではないかもしれませんが、やはり「真実」を知りたいという気持ち、資料や証言にあたって「嘘」を暴いていくことは、非常に重要なことであり、いよいよ昭和史もそういう対象になってきたのだなと思いました。
しかし、一方で、たとえば今の私の感想のような、ある種の「個人的興味」によって、実際にその歴史を紡ぎ、またそれを背負わされた人々(本人やその周辺の人々)の人権が蔑ろにされてきたということにも気づかされました。
今、私もまた、秘された昭和史を「暴く」仕事をさせていただいていますが、そうした視点が正直欠けていたことに反省させられました。
残された「事実」の上に、生きている人間の、言葉にならないような体験や感情が重なって、「真実の歴史」になっているのだということに、今更ながら気づかされたわけです。
それにしても、研究者の皆さん、特に渡部富哉さんのパワーには恐れ入りました。まさに執念ですね。
孫崎享さんとも初めてお会いしお話させていただきました。仲小路彰のことはご存知ないようでした。あま、それそうでしょうね。
そのあたりは私のこれからの仕事でしょう。
最後に一つ。安藤輝三の刑死寸前の「怒」とは、何に向いていたのでしょうか。
ふと、思ってしまいました。もしかして、二・二六事件もまた、あちら側の陰謀だったのではないかと。あり得ることですね。
非常に純粋に東北の貧困などを憂えていた安藤。彼の目指したものは、ある意味では共産主義革命でもあったわけです。そんな純真さを利用されていたとしたら…。
それに安藤が気づいたら、それはたしかに「怒」になるでしょう。そのあたりの研究も、もしかすると、私に与えられた宿題かもしれません。
追伸 27日付けの岐阜新聞に今回のフォーラムについての記事がありました。
戦前戦後の事件検証 安藤輝三、尾崎秀実、伊藤律を再評価
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