追悼 松方弘樹さん
また、昭和の名優があちらの世界に行ってしまいました。残念です。まだお若かったのに。
松方さんと言えば、私の世代にとっては「仁義なき戦い」ではなく、「たけしの元気が出るテレビ」です。それがリアル体験。
もちろん、大人になってから「仁義なき戦い」などの任侠映画における本来の松方さんに触れてもいるわけですが、やはりリアルタイム経験のイメージは強く、最初のうちはなかなかその世界に入っていけませんでした(苦笑)。
そこであえて今日は、少し地味だけれども私にとっては実に松方さんらしい役柄を紹介します(ほとんど私の趣味です)。
それは、こちらで紹介した映画「226」での伊集院兼信役です。
伊集院兼信は青年将校安藤輝三の上司。事件後立てこもった蹶起隊に対し、原隊に戻るよう説得した人です。それを安藤が断るシーンは、この映画というか、この事件自体のクライマックスの一つと言っていいと思います。
この映画での松方さんは、いかにも彼らしい重厚感で安藤(三浦友和)に語りかけます。そして、去り際の沈黙。背中で語るところは、さすがだと思います。
ほとんど任侠映画ですね。というか、二・二六事件自体、任侠ですが。
この映画には、先日亡くなった根津甚八さんも、河野司さん役で登場しているんですよね。ちょうど上掲の安藤と伊集院が対峙するシーンのすぐあと、けがをして入院した河野寿(本木雅弘)が、河野司さんが差し入れた(そしてそれで自害する)果物ナイフでリンゴをむくシーンが挿入されています。これもまた沈黙の演技ですね。
こうして日本映画において沈黙で語れる役者さんたちが、どんどん亡くなってしまうことが残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。
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