『ヤクザと憲法』 圡方宏史監督・東海テレビ制作作品
仕事が始まり、急に忙しくなったので、昨年末に観た映画の紹介をいたします。
「ヤクザと憲法」…ホンモノの組事務所にカメラが潜入した、東海テレビ制作のドキュメンタリー映画。面白かった〜。
ヤクザのドキュメンタリーと言えば『YOUNG YAKUZA』を思い出します。こちらも実に良かったのですが、また違った意味での迫力…いや魅力を感じました。
何度も書いているように、私は「ヤクザ」文化に深い興味を抱いており、いろいろな本を読んだり、そちらの世界の方のお話を聞いたりしてきました。実際このブログでもヤクザについての記事をたくさん書いてきましたし(検索窓で「ヤクザ」と打って検索してみてください)。
もちろん、そこには私ならではとも言える、宗教的、芸能的、格闘技的な視点というのが入っているわけですね。つまり、日本の本質であるところの荒魂と和魂を考える時に、どうしても避けて通れない世界なのであります。
先日読んだ『山口組分裂と国際金融』は、そこにさらに「経済」という視点をも加えてくれる良書でした。
この「ヤクザと憲法」は、「憲法」とあるからどれだけ政治的、あるいは法的なのかと思いきや、これは結局のところ「経済」の話だなと思った次第です。
もちろん法的な部分、政治的な部分でヤクザ文化が抑圧されてきたのは事実ですが、その裏側には、やはり「カネ」の世界がある。当然と言えば当然ですが、その「カネ(経済)」の世界があまりにも変わりすぎた。上掲の『山口組分裂と国際金融』の記事にも書いたとおり、ヤクザの任侠道と、国際金融的な自由主義経済とは相容れないのです。
そういう意味でも、私はついつい(本来の)「ヤクザ」を応援したくなるわけですね(笑)。弱きを助け強きを挫く。今の世界経済はその逆になってしまっていますから。
ところで、『YOUNG YAKUZA』でも、結局のところ主役は熊谷組長(その後いろいろ大変でしたね)でしたが、この『ヤクザと憲法』においても、やはり川口和秀組長の存在感…というか、「カッコよさ」は抜群ですね。やはり違いますよ、このレベルになると。佇まいだけで、男が惚れ込んでしまう。私とは対極にある男です(笑)。
まあ、それにしても、東海テレビさんもなかなか思い切った作品を作りましたね。こういう番組をぜひとも地上波で放送してもらいたいものです。
『YOUNG YAKUZA』でも垣間見えた、荒魂の中の和魂、すなわちヤクザの皆さんの内包する「優しさ」が、この作品でも見事に描かれている、というかにじみ出てしまっていると思います。
現代は「弱者の理論」で動いているとも言われますが、本当の弱者とはだれなのか、なんなのか、彼らの生きていく場所はあるのか、家はあるのか、国はあるのか、世界はあるのか…しみじみと感じ入ってしまいました。名作でしょう。
Amazon ヤクザと憲法―「暴排条例」は何を守るのか
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