SQ KISAS & 石井裕太 ジャズ・コンサート
ご来場くださった皆さま、誠にありがとうございました。
本当に素晴らしいコンサートでしたね。ワタクシは司会でありながら、純粋な一観客として心震わせておりました。
黒川ひとしさんの編曲による、弦楽四重奏とサックスによるジャズ、タンゴ、ボサノバなどの演奏。その編成からだけでも、そのスペシャルな響きが想像できますよね。
そして、黒川さん独特の編曲。今日も司会の言葉の中で申しましたが、その和声感覚、無調性感、ポリフォニックなセンス、休符を活かしたリズム、スイング感。
それが超絶にうまい奏者たちによって見事に現実化され、まさに世界唯一の時間と空間を体験することができました。
そして、なんと言っても今回のコンサートの目玉は、地元都留出身の期待の新人サックス奏者石井裕太くん。
彼の演奏は彼が学生の時代からずっと聴いてきましたが、今日、こういう編成で改めて聴く機会を得て、その天賦の才に驚きさえ感じました。
私はこのブログで何度も述べているように、楽器にせよ、歌にせよ、最高の音楽表現を「美空ひばり」だと思っております。そういう観点、聴点から言っても、裕太くんの表現は最高レベルにあったと思います。
これも舞台上で思わず言ってしまいましたが、やはり弱音の美しさ(高音でも低音でも)、隅々まで魂のこもった一音一音に、ただならぬモノを感じました。
特に、私のわがままでアンコールまでさせてしまった、クラリネットによる「オブリビオン」は、この世のものとは思えないほどの美しさでありました。
もちろん彼のアドリブのセンスの良さも充分堪能することができました。楽譜に書かれた音を構築する弦楽四重奏と、そこに降りてきて浮遊するサックス&クラリネットの「今」の音の対比がたまりませんでしたね。
まさに「今ここ」、都留にしかない響き。とても感動的でした。
それにしても司会業って面白いですね。観客の立場で演奏前の期待や演奏後の感想を、ご本人たちの前でしゃべっちゃえるわけですから。そしてアンコールまでお願いできちゃう(笑)。ちょっとはまりそうです。
考えてみますと、今日の会場だったうぐいすホール小ホールは、まさに私が20年間ずっと都留音楽祭においてアドリブ司会をやってきた場所です。曲を聴きながら、次にしゃべることを考えるというか感じることをずっと訓練してきた場所です。それが今日生きたなあと、個人的には感じました。
さらに個人的なことを言いますと、ここ都留で、30数年前、ヴァイオリンのケースを持って歩いていた私に、突然声をかけてきた黒川さん。そこから私の人生が動き出しました。
今の職場はまさにその瞬間から決まったようなものですし(いろいろ不思議なご縁があった)、自分の学校に通い始めた長女が期せずしてジャズバンド部でベースを弾くようになり、今年の夏、石井裕太くんと共演しました。そして、今日私がこういうご縁で黒川さんたちと裕太くんのコンサートの司会を務めさせていただくという…音楽の紡ぐ不思議なる縁と恩と人生を感じますね。
そんなわけで、個人的にもいろいろな意味で感慨深いコンサートでありました。終演後、長女は裕太くんとツーショット写真を撮りました。裕太くんのお母様と私は「将来の日本のジャズ界を担う二人?」と、半分本気で笑いましたが、これからの若い世代に大いに期待しつつ、半分は「負けないぞ!」という気持ちでいるワタクシでありました(笑)。
あらためてまして、皆さまに、特に黒川さんに感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
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