「素晴らしい」は素晴らしくない?
今日は明治節。晴れの特異日ということで、たしかに今日もまた素晴らしい青空でした。
…と、その「素晴らしい」という言葉なんですが、実はあんまり素晴らしくないのです。今日はそんなお話を。
「すばらしい」という日本語、今では誰もが「wonderful」の意味で使いますよね。ところが、もともとは正反対の意味の言葉だったんです。ご存知でしたか?
だいいち、この「すばらしい」、それほど歴史がない言葉なんです。書き残されている実例としては、せいぜい江戸時代の中期くらいまでしか遡れません。
そして、それらの例のほとんどが「ひどい」「最悪」というような意味で使われているのです。驚きですね。
語源的にはプレアデス星団と深く関わっています…いや、冗談ではなく、プレアデス星団の和名「すばる」、そうあのスバル自動車の「すばる」ですよ、その動詞「すばる」から派生した形容詞だと考えられるのです。
「すばる」は、プレアデス星団がそうであるように、何かがごしゃっと集まることを表わす動詞です。「すまる」とも言います。
他動詞だと「すべる・すめる(統べる)」ですね。スメラミコト(天皇)にもつながってきます。
で、その「すばる」が形容詞になると、集中、集合が内向きのエネルギーの流れとして捉えられ、あまり外向きでない、発展的でないイメージを持つことになったようです。
今私たちが抱く「素晴らしい」の語感は、その「素」や「晴」という漢字のイメージからしても、どちらかというと開放的ですよね。
つまり歴史的に、どこかで「素晴らしい」という漢字が当てられて、そこからプラスのイメージが生まれ、ついには定着したということでしょうか。
いや、それ以前に、日本語によく見られるある性質による変化とも言えるかもしれません。その性質とは、「ひっくりかえり」です。
たとえば、「すごい(すごし)」という言葉、もともとは「ゾッとする」というかなり悪いイメージの言葉でした。それが今では「すごいねえ!」という褒め言葉になっている。
そう言えば、「やばい」も最近ではいい意味に使われるようになってきましたね。そういう感嘆詞的な形容詞は、逆の意味で使われるようになる性質があるんですね。
逆にプラスからマイナスになる例としては、お前とか貴様とかがありますよね。褒め殺し的な使い方が定着してしまう例です。
まあ上記のように、「すばらしい」は天皇の縁戚にもあたるので、いい意味でもいいような気がしますがね(笑)。
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