板倉俊之単独ライブ 『クリミナル・ピエロッツ』+『なんでも大臣』
新宿ルミネtheよしもとで行なわれた、インパルス板倉の単独ライブに行ってきました。
お笑いのライブは久しぶり。ルミネtheよしもとは初めてです。
板倉ファンの姉に誘われたわけですが、コント部の顧問として勉強させていただく大変良い機会ともなりました。
それから、今月はやたらと司会業の仕事が入って(いったい本職は何なんだ?)、それもほとんどアドリブで笑いを取らなければならないようなものが多く、ま、いわばピン芸人みたいなもんですよ。そういう意味でも勉強になった。
そうそう、昨日もある祝賀会の司会をやったんですけど、なんとアントニオ猪木さんから「元気ですか!…1・2・3ダーッ!」という内容の祝電が来ていて、もうこれはまじめに普通に読むわけにいかないので、いきなりリアルものまねでやらせていただきました(笑)。ウケたから良かったようなものの、滑ったら祝賀会ぶち壊しとなるところでした(汗)。
板倉さんの芸については、インパルスとしても大好きでしたし、たとえばコント侍なんかでも、その独特のセリフ回しやテンポ感にかなりはまっていたのですが、やはり舞台となるとだいぶ違った印象を受けましたね。
まずは、非常に文学的であること。ご自身が小説家であるわけですから当然と言えば当然ですけれどせ、やはり言葉の選び方には独特のセンスがあるなと感心しました。特に使い古された(ある意味くさい)セリフに、新たな生命を吹き込むというところ。
そう、セリフもキャラ設定も「よくある」ものばかりなんですが、それをほんの少しずらして提供してくるんですよね。使い古されているものだから、観客はみんなすぐに共有できるし、その微妙なズレやブレを楽しむことができる。
それは、新作の「なんでも大臣」でのことわざや慣用句いじりにも言えることです。普通の日常を揺さぶってくるんですね。私たちの「常識」って、実はものすごく変なモノばかりだったりする。そこに「気づき」という笑いの種があるわけです。
国語の教員として、ワタクシもそういうネタを授業にたくさん仕込んできました。今回のネタにも「おっ、これはパクれるな」というものがたくさんありました。使わせていただきます(笑)。
実はそういう日常を崩すのが「文学」なんですよね。突拍子もないことは誰でも言えますし、その時はワッと驚かすことはできるけれども、深いところでジワジワ笑わせたり、感動させたり、切なくさせたりするのは、やはり日常の「小事件」だったりするのです。それが日本の伝統的な芸。文学も映画もお笑いも歌も。
ところで、御本人も恐縮するほどかみかみだったのは、私としてはそれは気にならなかったというか、逆に自然にすら感じられましたよ。
これって面白いですよね。今も受験生に面接の指導なんかしてるんですが、台本どおり読む感じにはしたくないので、あえてつまったり、え〜を入れたり、少しかんだりする練習をさせているんです。その方が印象いいんですよ。こいつ覚えてきたのを棒読みしてるなと思うと、面接官というのはツッコミたくなるんですよ(私もそう)。
それから、昨日も私、司会で冒頭からかんじゃったんですが、本番ってやっぱりそういうモノなんですよね。練習ではつまずかない、なんでもないところでコケる。これはよくあることです。私もコンサートで演奏する時、いつもは間違わない簡単なところでコケることが多い。
そうだ、この前、学校の礼拝という仏教の時間の司会をしてた時、教師生活30年にして初めて般若心経を間違えちゃったんですよ。いつもなら空で読んでいるものを、その日に限って経文を見ながら読んだら、見事に飛んじゃった(笑)。そういうものなんですね。
しかし、そこは私もいろいろな舞台で鍛えられています(つまり失敗ばっかり…)。いつもと同じ「平常心(へいじょうしん)」ではないものの、何が起きても動じない「平常心(びょうじょうしん)」は身につけているので、間違いをネタにすることができるようになりました(笑)。昨日の司会でも段取り間違えましたが、それをネタにして引っぱって盛り上げちゃいました。
そんなわけで、板倉さんの単独ライブ、そんな意味でもじわじわと共感できる内容で満足いたしました。結局のところ、日常に潜む私たちの日常の不条理と深層心理がえぐり出されて、気持ちよかったのかな。そうそう、板倉さんが好んで使うバンプの音楽の世界もそういう感じですよね。
でも、やってる方としては、お笑いってめっちゃ大変だよなあ。ゴールが「笑い」しかないんですから。感動や悲しみや怒りとかいう選択肢はほとんどないし、基本何度もくり返し味わってもらえるものでもありませんから。
だからこそ、素晴らしい仕事だとも言えるわけです。私も生まれ変わったらそちらのお仕事をしてみたいかも!?
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