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2016.09.19

『君死にたまふことなかれ』 与謝野晶子

Th_img_5659 日は某所にて朗読の会のお手伝い。
 私は朗読に合わせてヴィオラを即興演奏しました。
 時々やらせていただく形式ですね。BGMや効果音を付けていきます。細かい打ち合わせはなく、その場の空気で音を足していきます。出すぎず、あくまで刺身のツマに徹するのは、けっこう難しいものです。
 全部で10作品ほどに合わせて演奏させていただきましたが、まあまあの出来だったのでは。もちろん、朗読が素晴らしかったので、こちらもインスパイアされて気持ちよく演奏することができました。
 中でも私が印象に残ったのは、与謝野晶子の有名な「君死にたまふことなかれ」ですね。全編音を加えながら、いろいろ感じ、考えてしまいました。
 言うまでもなく、これはいわゆる「反戦の歌」ではありません。よく読めばわかります。
 もちろんいろいろな解釈があってこその名作ではありますが、誤読はいけませんね。
 そんなわけで、今日は皆さんにも改めてお読みいただきたいと思い、掲載いたします。


君死にたまふことなかれ

 (旅順の攻囲軍にある弟宗七を歎きて)




ああ、弟よ、君を泣く、

君死にたまふことなかれ。

すゑに生れし君なれば

親のなさけはまさりしも、

親はやいばをにぎらせて

人を殺せと教へしや、

人を殺して死ねよとて

廿四にじふしまでを育てしや。



さかいの街のあきびとの

老舗しにせを誇るあるじにて、

親の名を継ぐ君なれば、

君死にたまふことなかれ。

旅順の城はほろぶとも、

ほろびずとても、何事なにごとぞ、

君は知らじな、あきびとの

いへの習ひに無きことを。



君死にたまふことなかれ。

すめらみことは、戦ひに

おほみづからはでまさね[#「出でまさね」は底本では「出でませね」]

かたみに人の血を流し、

けものみちに死ねよとは、

死ぬるを人のほまれとは、

おほみこころの深ければ、

もとより如何いかおぼされん。



ああ、弟よ、戦ひに

君死にたまふことなかれ。

過ぎにし秋を父君ちゝぎみ

おくれたまへる母君はゝぎみは、

歎きのなかに、いたましく、

我子わがこされ、いへり、

やすしと聞ける大御代おほみよ

母の白髪しらがは増さりゆく。



暖簾のれんのかげに伏して泣く

あえかに若き新妻にひづま

君忘るるや、思へるや。

十月とつきも添はで別れたる

少女をとめごころを思ひみよ。

この世ひとりの君ならで

ああまたたれを頼むべき。

君死にたまふことなかれ。



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